イノシシ使い故郷の里山守る 香川の農業男性 狩猟学び職人と連携

イノシシによる人や農作物への被害が増える中、駆除のために捕獲したイノシシの皮を利用して、バッグや財布などの革製品作りに取り組む人がいる。自身が育った里山を守ろうと、香川県東かがわ市五名で農業などを営む西尾和良さん(41)が狩猟を学び、革加工職人と協力して実現させた。西尾さんは「里山を次世代に残したい」と語る。【山口桂子】
「GOMYO LEATHER(ゴミョウレザー)」の名で2018年秋から、東かがわ市のふるさと納税返礼品を中心に受注生産している。商品は全て手縫いで、財布や名刺入れなど6種。通気性があり手になじみやすいのが特徴で、これまで約40件の注文を受けた。返礼品には50万円相当のビジネス用バッグもあるという。
西尾さんは大学で会計学を学び、高松市内の製造会社に就職。休日に山で農業などを営む祖父母を手伝う中、「先祖代々300年かけて築いてきた棚田を守り続けたい」という思いが強くなり、35歳で会社を辞めた。その後、農作物被害を減らすためにイノシシを狩猟し、肉を販売する東かがわ市の施設で研修を受けた際、捨てられていた皮を有効利用しようと考え、革製品作りに取り組み始めた。
その後、市場にあまり出回らないイノシシの皮をなめす職人を約3年かけて探し出すと、高松市の革加工職人、柏原慎さん(43)に革製品の製作を依頼。柏原さんもイノシシを扱うのは初めてだったが、イノシシ特有の虫刺されなどの傷を目立たないようにするため、商品は黒色のみにするなど改良を重ね、完成させた。
19年度の県内のイノシシの出没件数は258件(12月末現在)で、過去5年間で最多となるという。西尾さんは「商品を通してイノシシによる被害があることを知ってもらい、里山にも関心を持ってもらいたい」と期待する。