曜変天目、京都の陶芸家が神秘の輝きを再現

世界に三つしかないとされ、いずれも日本の国宝になっている曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)。黒釉(こくゆう)がなす漆黒に、見る角度によって色が変わる星々が輝く。京都市東山区に窯を構える「陶あん」4代目当主で陶芸家の土渕善亜貴さん(40)は、試行錯誤の末、安定的に作ることに成功した。【大川泰弘】
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曜変天目は中国・南宋時代(12~13世紀)の建窯(福建省)で作られた。黒地に青い「星紋」が散らばり、黄色や紫の光彩も帯びる。この神秘の輝きは釉薬の焼き加減で偶発的に生まれる。
科学分析により釉薬のおよその成分は分かっていた。酸欠状態の不完全燃焼が模様を生み出すと考えた土渕さんは、まず専用の窯を作った。温度が管理しやすいガスと電気の併用にした。思ったように焼けず、窯を2回作り直した。焼成温度は1320度前後。酸欠状態にするタイミングや酸素量などを調整しながらまる1年、1000回も焼き続け、だんだん曜変天目に近づいていった。
運にも助けられた。温度を上げるタイミングが予定より20分遅れ、失敗と思ったら、それまでで一番きれいに焼けていた。
大きさは国宝茶碗とほぼ同じ直径12センチ前後。同じ窯の中でも条件は微妙に違い、曜変天目になるのは100個のうち1、2個だけ。希少でコストもかかり、100万~200万円で販売している。小さな杯は10万~20万円。この茶碗で2019年の第41回京焼・清水焼展で最高賞・経産大臣賞に輝いた。
土渕さんは「朝と昼で表情が変わり、見る場所によっても色合いが変わる曜変天目の醍醐味(だいごみ)を楽しんでいただきたい」と話している。
三つの国宝
京都・大徳寺塔頭(たっちゅう)、龍光院の茶碗は、寺の実質的な開祖、江月宗玩(こうげつそうがん)の生家である堺の豪商から寄進された。大阪市・藤田美術館の茶碗は、徳川将軍家から譲り受けた水戸徳川家を経て館蔵品に。東京・静嘉堂文庫美術館の茶碗は、徳川将軍家から淀藩の稲葉家などを経ており、「稲葉天目」とも呼ばれる。