今苦しむ誰か救えるかも… フラワーデモ、性被害語る女性 8日、国際女性デー

花を手に集まり、性暴力に抗議するフラワーデモは、昨年4月から各地で毎月11日に開催されてきた。初めて人前で自らの性被害を語る人も少なくない。重い記憶を言葉にすることで、生きる力を得た人もいる。
<「花を持って」一つのツイートから全国へ>フラワーデモ1年
白いチューリップを握りしめる手が震えた。「家は地獄だった」。2月11日、暖かな日差しが降り注ぐ横浜・山下公園。デモ主催者の森沢法子さん(48)は、集まった数十人の参加者に向かって自身の被害を語り始めた。
中学2年の時、家族が寝ている隣で実父にレイプされた。体は硬直し、恐怖で声も出せなかった。翌朝、下着に付いていた血の色は忘れられない。「誰かに話したら一家心中だ」と脅され、17歳で家を出るまで耐え続けた。
30年以上、忌まわしい記憶に苦しみ、死にたいという衝動と闘いながら生きてきた。しかし昨年3月、各地で性暴力事件の無罪判決が相次ぎ、打ちのめされた。被害者と自分が重なった。
自分に何ができるのか。模索する中でフラワーデモを知り、8月の東京駅前に初めて足を運んだ。最初は参加者の輪に入れなかったが、スピーチに勇気付けられ、気付くとマイクを握っていた。「私は性被害者です」。膝は震え、顔は涙でぐちゃぐちゃだった。
その後しばらく被害のフラッシュバックに苦しんだが、気付くと「死にたい」という気持ちは消えていた。14歳の頃に押し込めた「助けてほしい」という願いを、デモで言葉にできたからだと思った。
不慣れなSNSを使って参加者を募り12月、横浜市で初めてデモを開催した。「けがをした傷は時間がたてば癒えるが、性暴力は苦しみが増す」と訴える。自分が何をされたか徐々に理解して絶望する。痛みは消えない。
被害を語ることで苦しみも呼び起こされるが、デモを通して、今苦しんでいる誰かを救えるかもしれない。2月には、涙をこぼし声を絞り出した。「子どもたちを守れるのは、大人の私たちしかいない。どうか、一緒に声を上げてください」【国本愛】
新型コロナでメッセージに
フラワーデモは国際女性デーの8日、全都道府県で一斉開催が予定されていた。しかし新型コロナウイルスの感染拡大を受けて見送る地域が相次ぎ、インターネットでのメッセージ発信などに変更している。