新型コロナウイルス感染拡大の影響により全国で臨時休校が続く中、長野・松本市で新しい取り組みが始まっている。同市内の40~50代の経営者5人が出資し、未就学児から高校生を対象に、無料でテイクアウトの弁当を提供するもの。
この取り組みは、「地域への貢献ができるのでは」という思いから、県立松本県ケ丘高校の同窓生たちが立ち上げた。イベントや会合の自粛に伴い市内店舗では客足が大幅に減少。「休校中の子供たちに食事を提供することで、売り上げが減った飲食店への協力にもなり、子供たちを育てる保護者への支援にもなる」と同校出身者が経営する飲食店に依頼して始めた。
弁当を提供するのは松本市内にある「手打ちそば信州家」と「満腹厨房だぶる」の2店舗。「信州家」はミルフィーユかつ丼を、「だぶる」では地元の郷土料理でもある、揚げた鳥もも肉を用いた山賊丼を提供している。
飲食店にとって3月は例年、送別会などで忙しい時期。今回のコロナの影響で予約のキャンセルが相次ぎ、経営面で大きなダメージを受けている。「信州家」を経営する上條桂史さん(50)は「この出資は涙が出るほどありがたい。不安を抱える親や子供たちに貢献したいと思い弁当を作っている」とし、「だぶる」の細口健さん(45)も「予約がなくなってしまい、新規のお客さんも少ない」と危機感を持ちながら、「地域に貢献できる活動だと思い、この企画に賛同した。早くみんなに今までの平穏な暮らしが戻ってきて欲しい」と話した。
店舗を訪れた女性(45)は、子供と一緒に弁当を受け取り「働いている母にとってすごくありがたい。子供も喜んでいます」とこの取り組みに感謝した。
出資する経営者らは「あしながおじさん」のような形で貢献したいという思いから、出身高校以外の氏名などは公表していない。「このような時期だからこそ相互扶助の思いで、より多くの人に喜んでもらいたい」と、助け合いの輪が広がることを願っている。
賛同した人たちから、さらなる出資の申し出もあり、配布予定数を増やした。それぞれの店舗で17日から配布を再開する(16日は定休日)。