新型コロナウイルスの感染拡大が東京五輪の開催に影を落としている。組織委員会はこれまでに、508万枚のチケットを販売。最終的な予算ではチケット収入で約900億円の収入を見込んでおり、組織委員会では「好調」としていた。 しかし、にわかに注目を集めているのは、万が一、開催されなかった場合、チケットの払い戻しは可能か、という点だ。朝日新聞が3月18日、大会関係者への取材として「チケットの払い戻しは不可」と報じた。 組織員会は報道を否定したが、ネット上では、「規約に同意した自分の責任だが・・・」「納得するには金額が大きすぎる」といった不安や落胆の声が挙がっている。 本当にチケットは払い戻しされないのだろうか。福井健策弁護士に聞いた。 ●利用規約「不可抗力には責任を負わない」はどうなる? 「問題となるのは購入者全員が同意したことになっている、『東京2020チケット購入・利用規約』( https://ticket.tokyo2020.org/Home/TicketTerm )だ。 かつてこちらの記事( https://www.bengo4.com/c_23/n_9633/ )で解説した通り、チケット規約は相当に組織委員会や国際オリンピック委員会(IOC)の有利に組み上がっている。そこでは、払い戻しについて何と書いてあるか。関連しそうな条文としてまず目につくのはふたつある。 ひとつは、話題になっている「不可抗力」の規定だ。 『第46条(不可抗力) 当法人が東京2020チケット規約に定められた義務を履行できなかった場合に、その原因が不可抗力による場合には、当法人はその不履行について責任を負いません。』 『不可抗力には責任を負わない』とある。朝日新聞の報道では、まさに関係者はこの不可抗力の規定を理由に、払い戻しをしない見通しを述べたことになっている。そしてネット上では、「規約上は払い戻しされない」という情報と無念の声が急速に広がっている。 果たして、そう読めるだろうか。 確かにこの46条は、『不可抗力で観客に損害を負わせても賠償責任は負わない』という意味には取れるだろう。エンタメ契約ではよくある規定だ。が、それを超えて『払い戻しをしない』という意味にまで読めるのか? この点は、このコラム( https://www.kottolaw.com/column/200227.html )でも詳しく書いた。新民法によれば、仮に不可抗力的な理由でイベントが中止された場合、原則として観客はチケット代金の支払を拒み、あるいはチケット購入契約を解除できる(536条1項、542条1項1号)。
新型コロナウイルスの感染拡大が東京五輪の開催に影を落としている。組織委員会はこれまでに、508万枚のチケットを販売。最終的な予算ではチケット収入で約900億円の収入を見込んでおり、組織委員会では「好調」としていた。
しかし、にわかに注目を集めているのは、万が一、開催されなかった場合、チケットの払い戻しは可能か、という点だ。朝日新聞が3月18日、大会関係者への取材として「チケットの払い戻しは不可」と報じた。
組織員会は報道を否定したが、ネット上では、「規約に同意した自分の責任だが・・・」「納得するには金額が大きすぎる」といった不安や落胆の声が挙がっている。
本当にチケットは払い戻しされないのだろうか。福井健策弁護士に聞いた。
「問題となるのは購入者全員が同意したことになっている、『東京2020チケット購入・利用規約』( https://ticket.tokyo2020.org/Home/TicketTerm )だ。
かつてこちらの記事( https://www.bengo4.com/c_23/n_9633/ )で解説した通り、チケット規約は相当に組織委員会や国際オリンピック委員会(IOC)の有利に組み上がっている。そこでは、払い戻しについて何と書いてあるか。関連しそうな条文としてまず目につくのはふたつある。
ひとつは、話題になっている「不可抗力」の規定だ。
『不可抗力には責任を負わない』とある。朝日新聞の報道では、まさに関係者はこの不可抗力の規定を理由に、払い戻しをしない見通しを述べたことになっている。そしてネット上では、「規約上は払い戻しされない」という情報と無念の声が急速に広がっている。
果たして、そう読めるだろうか。
確かにこの46条は、『不可抗力で観客に損害を負わせても賠償責任は負わない』という意味には取れるだろう。エンタメ契約ではよくある規定だ。が、それを超えて『払い戻しをしない』という意味にまで読めるのか?
この点は、このコラム( https://www.kottolaw.com/column/200227.html )でも詳しく書いた。新民法によれば、仮に不可抗力的な理由でイベントが中止された場合、原則として観客はチケット代金の支払を拒み、あるいはチケット購入契約を解除できる(536条1項、542条1項1号)。