大阪府、兵庫県双方のトップが19日夕、互いに不要不急の往来を控えるよう呼び掛けた。この日夜の政府専門家会議を前に、唐突に表明された新たな「自粛要請」。20日からの3連休を前に各地で戸惑いの声が上がった。
帰宅ラッシュで混雑する、19日夕の阪神電鉄の大阪梅田駅(大阪市北区)。「仕方がないかな、と思う」。大阪市内で暮らし神戸市内で勤務する歯科衛生士の女性(43)は理解を示しつつ、「土曜も仕事があるので私自身は『自粛』できない。3日間だけ実施しても意味があるのだろうか」。大阪市内で働く兵庫県明石市在住の男性会社員(52)は「やり過ぎだ」と反発し、「府民と県民の不要な対立を生むのではないか」とも付け加えた。
「『不要不急』と言われても、この3連休も仕事で通わないといけない」。大阪府豊中市在住で、隣接する兵庫県尼崎市内のデイサービス施設に勤める男性(37)は困惑し、「週末の買い出しも尼崎市内のショッピングセンターの方が近いので困る」とこぼした。
3連休の人出に期待を寄せる観光地では失望の声が上がる。神戸市中央区の中華街「南京町」で豚まん店を営む南京町商店街振興組合の曹英生理事長(63)は「ショックだ。暖かくなり少しずつ客足が回復していたのに、このタイミングとは」と落胆。「豚まんも多めに仕込んでいたが、予定を変更しなくては」と表情を曇らせた。
大阪と兵庫を結ぶJR西日本、阪急電鉄、阪神の各社は通常通り運行する予定。ただ、懸念は広がる。阪神の担当者は、インバウンドの減少に加え、センバツ高校野球の中止、プロ野球の開幕延期の影響もあり、「(自粛要請の)打撃は大きい」と心配げに語った。ある鉄道会社幹部は「運行本数を減らせば混雑が生じ、感染の危険性が高まるのではないか。医療関係者なども鉄道を利用している」と述べ、通常運行の必要性を指摘した。【道下寛子、井上元宏、木田智佳子、加藤美穂子】
どれほど実効性があるかは疑問
勝田吉彰・関西福祉大教授(渡航医学)の話 感染者数が増えている大阪―兵庫間で往来を自粛する措置は、机上の計算上、感染拡大リスクを1%でも下げる意味はあるだろう。しかし、府県境にチェックポイントを設けるわけではないし、要請に敏感に反応する人たちは既に不要不急の外出などを控えているだろう。今回の措置にどれほど実効性があるかは疑問だ。