三陸沿岸で32年ぶりとなる商業捕鯨が始まり、ミンククジラを狙う小型捕鯨船が7日、宮城県石巻市から出航した。かつて捕鯨基地として栄えた鮎川港が商業捕鯨の拠点となるのは1988年以来で、昨年の再開後初めて。この日は水揚げに至らず、8日も出航する予定。
商業捕鯨は政府の国際捕鯨委員会(IWC)脱退決定に伴うもので、初年度の昨年は7月に再開したため漁場を考慮し北海道が拠点に。春先から始める今年は三陸・石巻でスタートを切った。
出漁は当初、5日だったが、強風のため2日間出られず、7日にようやく実現。同日午前5時半ごろ、鮎川地区に拠点を持つ「鮎川捕鯨」所有の捕鯨船など3隻が石巻漁港を出航し、関係者が静かに見送った。
仙台湾の沿岸約40キロで操業したものの捕獲できず、水揚げは8日以降に持ち越しとなった。ミンククジラは餌となる魚群と共に北上するため、今後、4月中旬までは鮎川港を拠点に水揚げし、状況を見て青森県・八戸港などに移るという。
「鮎川捕鯨」の伊藤信之社長(57)は「再開がうれしくてしょうがなく、自然と笑みがこぼれる。後はクジラを待つばかりで、無事故で操業しフレッシュな肉を食卓に届けたい」と話した。【百武信幸】