いつになったら終息するのか――。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、和歌山県内の飲食店も、閉店や休業、営業縮小に追い込まれるなど大きな打撃を受けている。普段なら多くの客でにぎわう和歌山市の繁華街・新内(あろち)地区。緊急事態宣言後の「アロチ」がどうなっているのか、歩いてみた。
「この先どうなるのか不安しかない」。緊急事態宣言後初の金曜日となった10日午後10時すぎ、アロチで小料理屋を営んで12年になる女性店主(54)は、「しばらくの間お休みします」と書いた張り紙を前につぶやいた。
3月から客がゼロの日が続き、同月中旬に休業に踏み切った。再開のめどは立っておらず、店内の机などは片付けた。店舗兼住宅のローンは3000万円残っており、現在融資について金融機関と相談しているという。5月4日は誕生日。いつもなら常連客に店で祝ってもらうが、「今年は一人でひっそり」と肩を落とした。
40年続くスナックを閉めた女性店主(80)にも出会った。「高齢で体力的にもきついから、やめ時かなと。店を開けておいても赤字にしかならん。さみしいし、しんどいよ」
仁坂吉伸知事は12日、「繁華街で接客を伴う飲食店の利用自粛」を県民に呼びかけた。「休業」を知らせる張り紙をしたラウンジやスナックがさらに増え、アロチの灯は消えた。ラウンジなどから注文を受けている花屋の店員は、「利用自粛の呼びかけから一気に注文が減った」と話し、仕入れていた大量の花を前に嘆いた。
創業60年ほどというラーメン店の店主(65)は、午前3時までの営業を早々に切り上げ、午後8時に店を閉めるようになった。「うちの店はアロチで飲んだ後のお客さんでもっている。飲み屋が閉まれば誰も来んさ」と寂しげに語った。静まりかえった店には、政府の布マスク配布の話題を伝えるテレビの音だけが響いていた。「布マスク2枚なんていらん。補償をしてくれんと、蛇の生殺しや」と深いため息をついた。
一方、安倍晋三首相が緊急事態宣言の対象を全国に拡大すると表明した16日以降も、営業を続けるラウンジもあった。
換気などの感染防止対策をしながら、営業時間は短縮し、月4万のカラオケリースをやめ、酒の仕入れも減らしたという。月30万の家賃や光熱費などが重くのしかかるが、女性従業員7人の給料を払い続けている。半数以上がシングルマザー。女性オーナーは「女の子たちの生活を守るために閉められない」と話した。
ただ、世間の目は冷ややかだ。「店を開けていれば犯罪者のようにみられる」という。それでも「がんばれよ」と店を訪れてくれる常連客が支えになっている。「給付金もいつになるか分からない。とにかく今は踏ん張り時」。女性オーナーは自分に言い聞かせるように話した。【木原真希】