新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、福岡県八女市の国指定天然記念物「黒木(くろぎ)の大藤」の藤の花が28日に刈り取られた。1メートルを超える花房は今が見ごろだったが、見物客が後を絶たないことを受け、苦渋の対応となった。
大藤のある素盞嗚(すさのお)神社や周辺には、樹齢600年超の老木などの藤棚約3000平方メートルが広がる。市商工会などは新型コロナの影響を受け、大型連休中を含めて開催してきた「大藤まつり」を中止したが、外出自粛要請の中でも見物客は減らず、刈り取る決断をしたという。
市商工会の川嶋成幸副会長は「断腸の思いだが、コロナがまん延したら取り返しがつかない」と話した。近くの茶販売店に勤める30代女性は「悲しいだけだが、来年に希望を持ちたい」と終息を願った。【宝満志郎】