使い捨ての医療用ガウンの在庫がなくなりゴミ袋で代用している――。新型コロナウイルスの感染拡大により、全国的にみれば比較的感染者の少ない佐賀県内の医療機関でも、物資の不足が深刻化している。感染と常に隣り合わせの医療関係者らは不安を抱え、「国や県による支援を」と訴えている。
県内のある病院では、主に感染者でない人を処置する際に感染予防のために着る、使い捨ての医療用ガウンの在庫がほとんどなくなった。4月に入り、医師事務作業補助者(医療クラーク)約10人が通常業務の傍らでゴミ袋からガウンを数百枚製作し、代替している。感染者の処置用の個人防護服がなくなった時に備え、レインコートを改良した防護服も500着用意したという。
個人防護服は、あと1カ月はもつ見込みだ。しかし、全国的な医療物資の需要増に供給が追いついておらず、どれも確保が難しい。この医療関係者は「今後感染者が増えてきて防護服がなくなったら、ゴミ袋でリスクのある患者に対応するのは怖い」と語り、「国や県から支給はあるがマスクも不足している。医療用マスクや防護服は欠品になっていて入手が難しく、国や県に確保してもらいたい」と求めた。
感染症指定医療機関以外でも、対策が進められている。同県吉野ケ里町の肥前精神医療センターでは、医療用マスクが一時不足し、マスクの中にガーゼを入れて複数回使うなどして対応。患者と接触しない職員は使用を1週間に2枚程度に抑えている。同センターの療養介助専門員、服巻裕介さん(36)は「マスクや消毒液は全国的に少なくなっていて、いつなくなるか不安を抱えながら勤務している」と訴えた。
国や県は感染症指定医療機関などに対し、防護服や医療用マスクの配布を進めている。県の担当者は「防護服や医療用ガウンは市場では調達が難しい。医療ができない状態にならないよう、国と連携して物資を確保し届けられるようにしたい」と話した。【池田美欧】