長野県中部や岐阜県飛地方を震源とする地震が4月下旬から多発している。原因は分かっておらず、気象庁は「いつ大きな地震が起きても大丈夫なように、日ごろの備えを見直して」と呼びかけている。
気象庁地震予知情報課によると、震度1以上の有感地震は、多発し始めた4月22日から5月1日午前10時までに計68回起きている。4月23日にはマグニチュード5・5の地震があり、長野県松本市で最大震度4、岐阜県高山市でも震度3を観測した。
いずれも震源の深さが10キロ未満と浅く、規模がそれほど大きくない地震でも、揺れが大きくなる傾向があるという。震源は当初の長野県側から、4月30日以降は岐阜県側にも広がっているが、同課の宮岡一樹評価解析官は「誤差の範囲」と説明する。
多発の原因は不明だが、近くの活火山、焼岳に変化は無く、火山性の地震ではないとみている。プレートの沈み込みに伴う地震でもなく「(太平洋側で懸念されている)南海トラフ地震に何らかの影響を与えることはない」という。
周辺では過去にも継続的な地震が起きている。1998年には8、9月に多発し、8月12日に上高地(松本市)で震度5弱を記録した。山に囲まれた県境地域のため、登山道や車道の土砂崩れの危険もある。
京都大防災研究所の大見士朗准教授(地震学)によると、体に感じない地震も含めると既に数千回は起きているという。「98年には地震は1年半ほど続いた。今は外出自粛で山に入る人は少ないと思うが、しばらく注意が必要」と話している。【川瀬慎一朗】