「もしも咳が出たらヤバいという不安があった」 新型コロナウイルスの陽性反応が出た夫(38)の自宅療養に付き合いながら、同居する母親(84)の介護もつづけた千葉県在住の木村佳子(40代・仮名)さんだ。母親には認知症の症状があり、「要介護3」と認定されている。木村さんにこの1カ月を振り返ってもらった。(ライター・土井大輔) ●病床がなく、自宅療養をすすめられる 木村さんは、夫と母親の3人暮らし。夫が発熱したのは、3月下旬のある日の夜だった。38度以上の熱があったが「インフルンエンザだろう」と考えたという。翌日、病院に電話すると、隔離室が空いたタイミングで来院するよう告げられた。 夫は病院で、インフルエンザの検査を受けたが、陰性だった。問診で、都内に長時間かけて電車通勤していることなどを話すと、PCR検査を受けることになった。木村さんは、その日から自宅内で夫を隔離することにした。 それから2日後、保健所から連絡があり「陽性」と告げられた。感染経路は不明だった。保健所からは、入院できる部屋がないからという理由で、自宅療養をすすめられたという。 ●「重症者を優先したい」というニュアンスを感じた 木村さんの母親は2年前、大腿部を骨折した。数カ月間入院したあと、自宅で療養とリハビリをつづけている。手すりを使えば、自力でトイレにも行くことができるが、最近は認知症の症状が現れている。食事したことを忘れたり、買い置きのお菓子を食べつづけたりするなど、目が離せないという。 さらに木村さん自身、夫の陽性が明らかになったころから微熱が出るようになった。「頭が痛いな、だるいなという風邪のひきはじめのような感じ」だったという。 保健所から連絡があった際、木村さんは夫の濃厚接触者であることを告げたが、37.5度を超えていないことから、「PCR検査を受ける段階ではない」と判断された。熱のない母親も同様だった。 木村さんは「『重症者を優先したい』というニュアンスを感じた」と振り返る。 ●ショートステイを断られる 夫が入院できないため、木村さんは母親を特別養護老人ホームなどにショートステイ(短期の入所)させることを検討したが、家族に感染者が出ていると告げると断られてしまったという。 木村さんは、介護が必要な母親と、新型コロナの夫との同居生活をつづけざるを得なくなった。しかも、自分も感染しているかもしれないという疑念があった。そこで、木村さんが次のような対策をとることにした。
「もしも咳が出たらヤバいという不安があった」
新型コロナウイルスの陽性反応が出た夫(38)の自宅療養に付き合いながら、同居する母親(84)の介護もつづけた千葉県在住の木村佳子(40代・仮名)さんだ。母親には認知症の症状があり、「要介護3」と認定されている。木村さんにこの1カ月を振り返ってもらった。(ライター・土井大輔)
木村さんは、夫と母親の3人暮らし。夫が発熱したのは、3月下旬のある日の夜だった。38度以上の熱があったが「インフルンエンザだろう」と考えたという。翌日、病院に電話すると、隔離室が空いたタイミングで来院するよう告げられた。
夫は病院で、インフルエンザの検査を受けたが、陰性だった。問診で、都内に長時間かけて電車通勤していることなどを話すと、PCR検査を受けることになった。木村さんは、その日から自宅内で夫を隔離することにした。
それから2日後、保健所から連絡があり「陽性」と告げられた。感染経路は不明だった。保健所からは、入院できる部屋がないからという理由で、自宅療養をすすめられたという。
木村さんの母親は2年前、大腿部を骨折した。数カ月間入院したあと、自宅で療養とリハビリをつづけている。手すりを使えば、自力でトイレにも行くことができるが、最近は認知症の症状が現れている。食事したことを忘れたり、買い置きのお菓子を食べつづけたりするなど、目が離せないという。
さらに木村さん自身、夫の陽性が明らかになったころから微熱が出るようになった。「頭が痛いな、だるいなという風邪のひきはじめのような感じ」だったという。
保健所から連絡があった際、木村さんは夫の濃厚接触者であることを告げたが、37.5度を超えていないことから、「PCR検査を受ける段階ではない」と判断された。熱のない母親も同様だった。
木村さんは「『重症者を優先したい』というニュアンスを感じた」と振り返る。
夫が入院できないため、木村さんは母親を特別養護老人ホームなどにショートステイ(短期の入所)させることを検討したが、家族に感染者が出ていると告げると断られてしまったという。
木村さんは、介護が必要な母親と、新型コロナの夫との同居生活をつづけざるを得なくなった。しかも、自分も感染しているかもしれないという疑念があった。そこで、木村さんが次のような対策をとることにした。