バーベキューNO! 札幌・豊平川の河川敷閑散 ネットの反発で参加者自粛か

札幌市を流れる豊平川の河川敷で5日、前日まで見られたバーベキューをする人たちの姿が消えた。テレビのニュースで取り上げられたり、インターネット上でバーベキュー参加者らに対する怒りの声が相次いだりしたことなどが影響したとみられる。秋元克広市長は同日、「考えて行動してほしい」と改めて呼び掛けた。
豊平川は例年、暖かい時期の休日やゴールデンウイーク(GW)期間中、バーベキューをする人でにぎわう。そこで、河川敷を管理する札幌河川事務所は4月下旬、「感染拡大を防止するため」として、飲食を伴う宴会などの自粛をホームページなどを通じて要請し、パトロールカーや立て看板でも注意を呼び掛けていた。
だが目撃情報などによると、GW中の2日から4日にかけ、複数のグループが河川敷でバーベキューや宴会を実施した。4日は、安倍晋三首相が緊急事態宣言の延長を表明し、鈴木直道知事が遊興施設などの休業要請を15日まで延期すると発表した当日。さらに市内では日別最多となる31人の新型コロナ感染者が発表されるなど、危機のまっただ中だ。
ツイッター上では、「こんなことやってたら永遠に自粛生活終わらない」といった書き込みや、「無責任」「非常識」などと批判的な投稿が相次いだ。「少し落ち着いてからやろう」と呼び掛ける投稿もあったが、擁護する声は見当たらない。また、真偽は不明だが、集団でバーベキューをしていた主催者の身元を「特定した」とする投稿もあり、批判の声は日増しに高まった。
こうした事態を反映してか、記者が5日昼過ぎに河川敷を訪れたところ、バーベキューをしている人の姿は確認できなかった。
自宅から豊平川までのウオーキングが日課という同市豊平区の女性(90)は「昨日、おとといは若い人たちが、あちこちでバーベキューをしていたが、今日は見かけていない」と証言。「若い人や家族がいる人は将来のことも不安になるだろうし、ストレスがたまって大変だと思うので、ある程度の外出は仕方ないかもしれない。でも今は、バーベキューや花見は我慢するのが決まり」と話した。
秋元市長は5日の記者会見で、豊平川河川敷でのバーベキューについて「大変残念。『どうしても外出しなければならない場合を除き、家にいてください』とお願いしていた。市内の感染リスクが高まる中、『(無症状でも)自分は感染している』という前提で、人にうつさないよう考えて行動してほしい」と述べた。【高橋由衣】