政府・与党、困窮学生に10万~20万円給付へ 授業料半減など野党案は「無理」

政府・与党は12日、新型コロナウイルスの影響でアルバイト収入が激減し困窮している大学生らを対象に、1人当たり10万~20万円の現金給付を行う調整に入った。対象人数を40万人規模と想定し、更なる対象増も模索する。今年度補正予算(1次補正)の予備費1兆5000億円の一部を活用し、週内にも閣議決定した上で速やかな給付を目指す。
自民党は同日、留学生を含む困窮している大学・短大・高専・専門学校生に原則10万円、住民税非課税世帯の下宿生などの困窮度合いが深刻な学生に20万円を給付する策をまとめた。対象人数は計40万~50万人。公明党は困窮している大学生ら約44万人に10万円を給付する案を示していたが、この案をベースとしたうえで、上限20万円の一時金支給などを求める立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党案の要素も取り入れた。必要予算は500億~600億円と見込む。
給付対象者については政府が基準を策定し、この基準に基づき、大学生らが在籍する学校が審査し、日本学生支援機構が給付する仕組みを模索している。1次補正に盛り込んだ全国民1人10万円の現金給付とは別に給付する。
日本維新の会は同日、自公両党との国対委員長会談で、自民案に賛同する意向を伝えた。一方、立憲など野党4党は11日、困窮学生の授業料の半額免除や上限20万円の一時金支給を定めた独自法案を国会に提出している。
与党は4党案について、完全実現に1兆円以上の財源が必要となるため「丸のみは到底無理」(文部科学相経験者)とみている。そのため、自民案への理解を求めていく考えだ。【立野将弘、飼手勇介、野間口陽】