なぜテレビの中はマスクをしないの? 出演者削減、モニター中継…各局苦慮

新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、「新しい日常」の中でもマスク着用が推奨されている。しかし、マスクの着用を呼び掛けるテレビの中のニュースキャスターや出演者はマスクをしていない。なぜなのか。特に報道・情報番組に焦点を絞り、NHK大阪拠点放送局、毎日放送(MBS)、朝日放送(ABC)、関西テレビ(KTV)、読売テレビ(YTV)――の大阪に拠点を置く放送局5局に出演者がマスクを着用しない理由を質問、KTV以外から回答があった。
感染対策として「スタジオの出演人数を極力減らし」(MBS)、「キャスターが一定程度の距離をとる」(NHK)といった方法はテレビで見ている限り各局が行っているようだ。また、コメンテーターらに対しては「ゲストについてはなるべく別室での出演をお願いし」(MBS)ているとする。テレビでは出演者がディスプレー越しに話をしている光景をよく見る。
ところが、テレビ朝日・報道ステーションのキャスターが新型コロナに感染したこともあり、神経質になっているはずだが、回答のあった4局すべてでマスクは着用していない。マスクをしない理由についてNHKが「総合的に判断しています」にとどめている一方で「口元や表情を見せることで、聴覚障碍(しょうがい)者の方をはじめ視聴者に内容を伝わりやすくしたいと考えております」(MBS)や「放送では出演者の言葉に加えて、その表情も含めた視覚的な情報を伝えることを大切にしています。聴覚に障害がある方にとっては唇の動きは重要な情報となります」(YTV)など耳の不自由な人への配慮といった明確な理由を示す放送局もある。他には「マスク装着により音声が聞き取りにくくならないため」(ABC)という理由も挙げる。
マスクに関しては記者会見の際、大阪府の吉村洋文知事が耳の不自由な人向けにマスクをせず会見に臨むようになっている。
一般社団法人京都府聴覚障害者協会はテレビ出演者のマスクの有無について、「普段から日常生活で手話によるコミュニケーションをしている私たちにとって、手話を全く知らない出演者がマスクをしてもはっきりと弊害があるわけではない」と指摘。一方で、「マスクをするしないで表情や感情を読み取る部分で差が出てくる」と話した。【山中宏之】
各テレビ放送局の回答
Q報道・情報番組で出演者がマスクをされていない理由は何ですか。
◇NHK大阪拠点放送局
新型コロナウイルスの感染予防や拡大防止に向け、スタジオでキャスターが一定程度の距離をとるなど、さまざまな対策を進めています。具体的にどのような対策を講じるかは、現場の環境やスタッフの密度なども踏まえ、総合的に判断しています。
◇毎日放送(MBS)
ゲストについてはなるべく別室での出演をお願いし、スタジオの出演人数を極力減らした上で距離をあけることで感染リスクを軽減する対策をとっています。また司会者やコメンテーターの口元や表情を見せることで、聴覚障碍(しょうがい)者の方をはじめ視聴者に内容を伝わりやすくしたいと考えております。
◇朝日放送(ABC)
出演者数の見直しや出演者同士が距離を十分とるなど、感染防止対策をしています。またマスク装着により音声が聞き取りにくくならないためにも、外して臨んでいます。
◇読売テレビ(YTV)
視聴者に聞き取りやすい音声で放送するために、出演者はマスクを着用しておりません。また、放送では出演者の言葉に加えて、その表情も含めた視覚的な情報を伝えることを大切にしています。聴覚に障害がある方にとっては唇の動きは重要な情報となります。スタジオでは出演者同士の距離を取るなど十分な配慮を行っています。