「無給医」がコロナ診療に当たる実態判明 調査の弁護士「厚労省は抜本対策を」

診療しても給与が支払われない「無給医」を巡る問題について日本医科大(東京都文京区)の若手医師と日本労働弁護団らがアンケート調査を実施したところ、無給医が新型コロナウイルスの診療に当たっている実態が明らかになった。
アンケートは4月、同大の付属病院などで診療に当たっている大学院生ら計120人に実施し、32人から回答を得た。
これまでに無給や著しく低い給与で働く「無給医」だった経験があるかどうかを尋ねたところ、回答者の約8割の25人が「ある」と回答。その25人のうち9人が新型コロナウイルスに感染した患者や疑いのある患者の治療に当たっていた。
大学院生が新型コロナ診療に従事していることを示すアンケート調査について同大広報課は27日、「従事している大学院生がいたかどうか回答しない。少なくとも現在はいない」とした。また、「コロナ従事者がいたとしても、労務として取り扱い、特別手当を支給しており、無給医はいない」との認識を示した。
無給医の実態について都内の別の大学病院に在籍する大学院生の医師は「時給に換算すると1100円ほど。東京の最低賃金(1013円)をわずかに上回る額だ」と証言する。
医師によると、最近は新型コロナ患者の診療もするよう求められるケースも増えており、対応に苦慮する大学院生は多い。多くは生活のため外部の医療機関でアルバイトをしているが、感染防止を理由にアルバイトを断られ、収入が激減している人もいるという。
日本医科大のアンケート調査に携わった市橋耕太弁護士は「感染拡大で人手不足が進み、適正な労務管理がないなか働かされている大学院生らがいる。まず労働者としてきちんと扱うべきであり、特に労災などが起きた場合はきちんと対応する必要がある。新型コロナの影響でアルバイト収入が減り『大学に残れない』といった声も聞く。無給医のような働かせ方がなくなるよう厚生労働省は抜本的な対策をとってほしい」と話す。
文部科学省が今年2月に公表した調査結果によると、全国108の大学付属病院のうち59病院に2819人の無給医がいることが分かっている。文科省は4月、各大学病院長に対して「大学院生らが新型コロナの診療に当たる機会が増えることが想定される」として適正な雇用・労務管理を行うよう事務連絡を出している。【福島祥】