愛媛県今治市新谷の新谷古新谷(にやこにや)遺跡を発掘調査している県埋蔵文化財センターは、古墳時代中期後半(5世紀後半)の7基の古墳群を発見したと発表した。墓坑(ぼこう)からはガラス小玉、管玉、須恵器など多くの副葬品が出土し、古墳時代の葬送儀礼を考える上で注目される。【松倉展人】
国道196号今治道路の建設に伴い、新谷地域を一望する丘陵部約1・1ヘクタールを調査。弥生時代後期、古墳時代の集落跡があり、古墳時代の今治平野の古墳群としては初の調査。直径10メートル前後の7基の円墳のうち、1基には東西方面に長さ3・2メートル、幅0・8メートルの墓坑が見つかった。人骨は残っていないが、規模から被葬者は成人と推定される。頭側と思われる東端に須恵器の杯や杯のふた、足側の西端には須恵器の高杯(たかつき)が三重に重ねた状態で置かれていた。更に首のあたりから玉類、腰のあたりから鉄製の鏃(やじり)、刀の一部などが見つかった。
副葬品も多数出土
別の円墳1基にあった墓坑も東西方向。同様に副葬品のガラス小玉、管玉、須恵器などが出土した。センターの松村さを里・担当係長は「被葬者はこの地域の有力者とみられ、葬送儀礼を考える上で重要な成果」と話す。
2016年度から続いている新谷古新谷遺跡の調査では、古代氏族の人物名「凡直(おおしのあたい)」が刻まれた8世紀後半ごろの土器片などが見つかっている。今回、一般向けの現地説明会は新型コロナウイルス感染防止のため行わないが、センターのホームページで調査結果を詳しく紹介している。