大阪車上荒らし 逮捕のきっかけはマスク外した決定的瞬間

大阪府内5警察署の署員と、防犯カメラ捜査専門部隊ら計約100人をつぎ込み、2000時間以上かけて徹底的に洗い出した。

乗用車からナンバープレートを盗んだとして、職業不詳の荒川宗明容疑者(45)ら男4人が先月26日、窃盗の疑いで府警捜査3課に逮捕された。荒川容疑者らは、大阪市内を中心に約250件の車上荒らしなどを繰り返していたとみられる。

市内では昨年3月から今年4月にかけ、コンビニや飲食店の駐車場に止めてあった高級車のガラスが割られ、車内からバッグなどが盗まれる事件が多発していた。被害は現金だけで1000万円以上に上るという。窃盗団は捜査を撹乱するため、移動手段に盗難車を使い、犯行直前に前方のナンバープレートを外し、後方のプレートを盗んだものと付け替えていた。さらにマスクをつけ、フード付きの服を着て顔を隠していた。

「どっかでマスクを外すチャンスがあるやろいうことで、交差点のカメラなど府内の防犯カメラを片っ端から調べ上げた。その結果、八尾市にあるトタン造りの平屋の貸しガレージに盗難車を隠しとることが分かったんや。ヤツらはまずそこに集合し、そっから犯行現場に向かっとった。そこでマスクを外し面が割れた。新型コロナウイルスの感染が拡大する最中も犯行を繰り返しとった」(捜査事情通)

リーダーの荒川容疑者は2008年、盗難ナンバーが取り付けられた車に乗り込もうとしたところを捜査員に声を掛けられ、催涙スプレーを噴射して抵抗、拳銃を奪おうとして現行犯逮捕されている。

「あの時はまさに車上狙いをしとるとこやったんや。逮捕をきっかけに余罪がゾロゾロ出てきた。他にも催涙スプレーを使った強盗や傷害事件、強制わいせつ事件など数十件の関与をゲロった。今回の車上荒らしも、ムショから出てきてすぐに始めたようや。データベースにある画像とマスクを外した時の顔が一致し、人定ができた」(前出の捜査事情通)

荒川容疑者は盗んだ金で、オフィスビルが立ち並ぶ大阪市内中之島の築2年、55階建ての高級タワーマンションに住んでいたが、これで優雅なセレブ生活もおしまいだ。