兵庫ボーガン事件 同級生「容疑者は明るく優しい子」 矢が刺さった女性に現場騒然

兵庫県宝塚市の民家で4日朝、ボーガンで撃たれて男女3人が死亡、女性1人が重傷を負った事件。現行犯逮捕されたのは、この家に住む自称大学4年生、野津英滉(ひであき)容疑者(23)だった。「家族の間で何があったのか」。閑静な住宅街にパトカーや救急車のサイレンが鳴り響き、近隣住民からは不安や驚きの声が上がった。
「インターホンが鳴ったので玄関を開けると、女性の右耳の下から左耳の下あたりに矢が突き抜けていた。『おいに撃たれた』と言ってしゃがみ込んだので、慌てて救急車を呼んだ」。重傷を負った女性が駆け込んだ近くの家の住民は、事件直後の様子を証言した。別の住民は「首に矢が刺さった女性が運ばれるのを見た。意識ははっきりしており、何か話しているようだった」と振り返った。
現場は宝塚市役所から武庫川を挟んで東に約1キロの住宅街。住民らによると、亡くなった祖母好美さん(75)が25年ほど前から住んでおり、野津容疑者らは数年前から同居を始めたという。
学校関係者によると、野津容疑者は宝塚市内の中学校を卒業後、兵庫県三田市内の高校に入学。高校時代は穏やかで、大人びた口ぶりが印象的だったという。その後、神戸市内の大学に進学したとみられる。
中学で同級生だった男性(23)は「4年ほど前、ガソリンスタンドでアルバイトをしている時に会ったが、真面目に頑張っているなと思った。こんな事件が起き、ただ驚くしかない」と話す。高校の同級生の男性(23)によると、野津容疑者はサッカー部に入ったが2、3カ月で退部。「明るくて優しい普通の子だった。格闘技が好きで習っていた」と振り返った。
現場近くに住む主婦(38)は「パトカーや救急車の音が聞こえて家の外に出ると、警察官や救急隊員が慌ただしく動き回り、負傷した人が毛布をかぶせられてストレッチャーで運ばれた。近くでこんな事件が起きたことはなく、小さい子どもがいるので怖い」と不安そうな様子だった。【井上元宏、稲田佳代、堀祐馬】