赤く染まったレインボーブリッジ。東京都で2日、新型コロナウイルスの感染者が新たに34人報告されたことで、小池百合子知事は警戒を呼び掛ける「東京アラート」を初めて発令、日本有数の歓楽街・歌舞伎町を抱える新宿エリアを名指しして懸念を示した。一方で大阪府は1日、2日と新規感染者ゼロ。なぜこの差がついたのか。
「新宿エリアの飲食・接客業関係者が多いという報告を受けている」と小池知事。2日までの1週間で報告された陽性者114人のうち、夜の繁華街関連は約3割の32人で、半数近くは新宿エリアだった。ガールズバーやホストクラブなどでの感染を確認。緊急事態宣言が発令されていた5月中旬の誕生日パーティーで20人以上が集まり、7人の感染者が出た。
東北大学災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は、「緊急事態宣言の解除前に緩んでいた結果とみるのが正しい」と語る。夜の街の感染者増加について「飲酒で手洗いなど感染対策が気が緩んだり、同席者と近づいて会話することも感染リスクを高める。経済的影響はあるが、本来は極力避けてほしい」と提言する。
人口1394万人の東京の感染状況と対照的なのが人口882万人の大阪府だ。1日に続いて新規感染者はゼロ。大阪のシンボル・通天閣は、吉村洋文知事が掲げる「大阪モデル」の基準内を示す緑色の点灯が続く。
累計でも東京が感染者5283人、死者は306人に対し、大阪は感染者1783人で死者84人と差がついている。
西武学園医学技術専門学校東京校校長で医学博士の中原英臣氏は、「現状では、東京は感染予防対策に失敗している。いくつものスローガンで警戒を呼びかけ、いわば都民を脅し続けてきたので、自粛が解除されれば一斉に人が出歩くのも無理はない」と解説する。
中原氏は東西のライトアップについて「“赤信号”を出して警戒だけ呼び掛けても都民は慣れつつある。この先本格的な第2波に突入した場合、どうするのか。一方、大阪はデータに基づいて適切に注意喚起しており、通天閣などのライトアップも3色と分かりやすい」と違いを強調した。