北九州市ほたる館(北九州市)が、飼育している淡水魚オヤニラミの産卵シーンの撮影に成功し、フェイスブック(FB)で約1分の動画を公開している。撮影した職員の鵜澤拓哉さん(26)は「貴重な映像で、希少種の普及活動や生態を知る資料として保存していきたい」と話す。
オヤニラミは、河川の中流から下流域の水草が多く、流れが緩やかな場所に生息し、最大13センチ程度。えらぶたに目のような模様がある。環境省レッドリストで「近い将来、野生での絶滅の危険性が高い」絶滅危惧ⅠB類とされている。
ほたる館は約3年前からオヤニラミを飼育している。縄張り意識の強い魚で3匹を別々の水槽で飼っていたが、今年3月に生態水槽(横4メートル、縦90センチ、奥行き80センチ)をリニューアルした際「十分な距離が保てる」と同居させた。
4月4日に産卵が確認された。鵜澤さんは、その様子を記録しようとしたが、なかなか出合えず、6回目の産卵の4月20日にスマートフォンに収めた。この日、雌がそわそわと落ち着かなく泳いでいるなどの前兆行動を確認し「今度こそは」とスマホを構えて5分後に産卵が始まった。
水槽ガラス面の下から上に向かって、雌の体から卵が出て産みつけられる様子を捉え、雄が追うように放精する姿も録画した。「今日も駄目か、と思った瞬間でした。達成感と感動に満ちた心境でした」と振り返る。
産卵は計10回に及び、その後、卵から稚魚も誕生したという。【宮本勝行】