新型コロナ時代に求められる避難所の改革 発熱者の隔離難しく 子供の分離も多難

全国的な梅雨入りを前に、自治体が新型コロナウイルスの感染拡大に対応した避難所の感染症対策を進めている。避難者を受け入れる前に検温し、発熱者がいれば別室に入ってもらうことなどが柱だが、発熱の原因がコロナ感染か普通の風邪か判別するのは難しく、「発熱者」でひとくくりにして同じ部屋に隔離すれば新たな感染リスクが生じかねない。幼い子供や要介助の高齢者が発熱していた場合、家族をどうするかも難しい課題で、自治体は局面に応じた判断を迫られる。
内閣府が都道府県などに出した5月21日付通知では、発熱者などについて「可能な限り個室にすることが望ましいが難しい場合は専用スペースを確保する」とした。27日付通知ではホテルや旅館の活用も求めた。
九州・山口の政令市や県庁所在市に尋ねたところ、発熱者にそれぞれ個室を用意できる見通しが立っているのは福岡市。学校の空き教室などを活用して発熱者一人一人を分けるという。山口市も各避難所に発熱者用の個室を設ける方向で検討している。
一方で、コロナ感染による発熱者と風邪による発熱者の混在リスクを完全に避けるのは難しいと答えた自治体も多かった。
新型コロナウイルスの感染確認が続いている北九州市は避難所に発熱者などの専用スペースを設けるが「発熱がコロナによるものか判断しようがない。症状がある人は分かれてもらう」とする。4月11日を最後に感染者が確認されていない宮崎市は「現状なら感染者の可能性は低いがゼロではない。体育館なら間仕切りした専用スペース、公民館なら調理室などを個室として使う」としている。
子供や高齢者に発熱者がいた場合、家族をどうするかは更に難しく、最終的には保護者などに判断を委ねる自治体が多かった。
宮崎市は「子供も専用スペースか個室へ、と考えているが『子供を1人にできない』という家族の判断があれば一緒に専用スペースに行ってもらうこともあり得る。ケース・バイ・ケースで家族との話し合いになる」。長崎市は「1人だけ家族から離してよければ移すが、一緒にいたいと要望があれば家族ごと別のスペースか離れた場所に避難してもらう」とする。
福岡市は「こちらが家族を引き離すわけにはいかない。ご家族に判断を任せる」。北九州市は「幼い子は(発熱者専用スペースで)保護者に一緒にいてもらうようお願いする可能性がある」としている。熊本市は症状がある家族ごと「保健室」と称した別室に入ってもらい、コロナ感染が疑われる避難者は速やかに保健所の「帰国者・接触者相談センター」に移ってもらう。
いずれにしても避難者が避難所に押し寄せる状況になれば、感染が広がるリスクをどこまで抑えられるかは未知数だ。
東京女子大の広瀬弘忠名誉教授(災害リスク学)は「無症状の感染者もいるので完全な感染防止は難しいだろう。体育館や公民館に雑魚寝する日本の避難所は1970年代から変わっていない。これを契機に、トレーラーハウスを活用している米国などを参考に新しい避難所を模索するべきだ」と話す。【平塚雄太、杣谷健太、平塚裕介、清水晃平】