性犯罪で有罪判決が確定した人に対して、GPSの装着義務付けが検討されることになった。政府がまとめた性暴力対策を強化する案に盛り込まれ、政府が7月に取りまとめる「骨太の方針」に反映される方針という。 性犯罪の再犯防止のため、有罪となった人に対するGPSの装着義務付けは、アメリカやヨーロッパ、韓国などで導入されている。一方で、プライバシーなど人権侵害や社会復帰の阻害を懸念する声もある。 国内では、宮城県が2011年に性犯罪の前歴者やDV加害者に対して、GPSの携帯を義務付ける条例制定を検討したことがあった。県内に限り、県警が行動をチェックするというものだが、人権侵害となるおそれが指摘されて見送りとなっていた。 ほかにも、2018年5月に新潟市で小学2年の女の子が殺害され、線路に遺棄された事件を受け、新潟県議会は同年7月、性犯罪者にGPSを利用した監視の検討を国に対して求める意見書を可決。GPS義務付けはたびたび、議論されてきた。 性犯罪者にGPS装着を義務付けることは、現行法で可能なのだろうか。また、課題はないのだろうか。秋山直人弁護士に聞いた。 ●日本では「法的根拠はなし」、韓国では? 「性犯罪で有罪判決を受けた人に対して、GPSの装着を義務付けて監視することは、対象者のプライバシーや行動の自由を制約するものであり、現行法では、刑法や更生保護法などに、これを強制する法的根拠はありません。 したがって、性犯罪者の再犯防止などが目的であっても、そのような施策をおこなうのであれば、立法措置が必要です」 海外ではどのように運用されているのか。 「たとえば韓国では、2008年9月1日から『特定性暴力犯罪者に対する位置追跡電子装置装着に関する法律』が施行されています。次のような複数の法制度が採用されています。 (1)性犯罪者の刑事裁判において、刑罰とは別に、いわゆる保安処分として、裁判所が10年以下の『電子監視命令』を宣告する (2)性犯罪者の刑事裁判において、保護観察付執行猶予の判決を言い渡すときに、保護観察に伴う遵守事項の履行の有無の確認のため、電子監視を命ずる (3)懲役刑で有罪が確定し、刑に処せられた後、保護観察付仮釈放が認められる者に対して、保護観察委員会が、刑罰の執行における付随処分として電子監視をおこなう たとえば、(1)については、裁判所が、『懲役5年、電子監視命令3年』のような判決および電子監視命令を言い渡すとともに、遵守事項として、夜間など特定時間帯の外出制限、特定地域・場所(小学校、保育所の周辺等)への立入禁止、被害者等特定人への接近禁止、性暴力治療プログラムの受講等もあわせて言い渡し、遵守事項の遵守をチェックする手段として電子監視を命ずるという制度になっています。
性犯罪で有罪判決が確定した人に対して、GPSの装着義務付けが検討されることになった。政府がまとめた性暴力対策を強化する案に盛り込まれ、政府が7月に取りまとめる「骨太の方針」に反映される方針という。
性犯罪の再犯防止のため、有罪となった人に対するGPSの装着義務付けは、アメリカやヨーロッパ、韓国などで導入されている。一方で、プライバシーなど人権侵害や社会復帰の阻害を懸念する声もある。
国内では、宮城県が2011年に性犯罪の前歴者やDV加害者に対して、GPSの携帯を義務付ける条例制定を検討したことがあった。県内に限り、県警が行動をチェックするというものだが、人権侵害となるおそれが指摘されて見送りとなっていた。
ほかにも、2018年5月に新潟市で小学2年の女の子が殺害され、線路に遺棄された事件を受け、新潟県議会は同年7月、性犯罪者にGPSを利用した監視の検討を国に対して求める意見書を可決。GPS義務付けはたびたび、議論されてきた。
性犯罪者にGPS装着を義務付けることは、現行法で可能なのだろうか。また、課題はないのだろうか。秋山直人弁護士に聞いた。
「性犯罪で有罪判決を受けた人に対して、GPSの装着を義務付けて監視することは、対象者のプライバシーや行動の自由を制約するものであり、現行法では、刑法や更生保護法などに、これを強制する法的根拠はありません。
したがって、性犯罪者の再犯防止などが目的であっても、そのような施策をおこなうのであれば、立法措置が必要です」
海外ではどのように運用されているのか。
「たとえば韓国では、2008年9月1日から『特定性暴力犯罪者に対する位置追跡電子装置装着に関する法律』が施行されています。次のような複数の法制度が採用されています。
(1)性犯罪者の刑事裁判において、刑罰とは別に、いわゆる保安処分として、裁判所が10年以下の『電子監視命令』を宣告する (2)性犯罪者の刑事裁判において、保護観察付執行猶予の判決を言い渡すときに、保護観察に伴う遵守事項の履行の有無の確認のため、電子監視を命ずる (3)懲役刑で有罪が確定し、刑に処せられた後、保護観察付仮釈放が認められる者に対して、保護観察委員会が、刑罰の執行における付随処分として電子監視をおこなう
たとえば、(1)については、裁判所が、『懲役5年、電子監視命令3年』のような判決および電子監視命令を言い渡すとともに、遵守事項として、夜間など特定時間帯の外出制限、特定地域・場所(小学校、保育所の周辺等)への立入禁止、被害者等特定人への接近禁止、性暴力治療プログラムの受講等もあわせて言い渡し、遵守事項の遵守をチェックする手段として電子監視を命ずるという制度になっています。