新型コロナウイルス感染者が観光地を定期的に訪れると、流入を止める場合と比べて、観光地での重症者数が最大3倍に増える可能性があるとの試算を、筑波大の倉橋節也教授(社会シミュレーション学)がまとめた。政府は都道府県をまたぐ移動の自粛要請を19日に全面解除する方針で、専門家は「観光地でもPCR検査などの感染症対策を充実すべきだ」と指摘する。
試算では、首都圏からアクセスがしやすく、別荘地が多数ある長野県の観光地のある地区(人口3200人)を想定。首都圏などから感染者が訪れ、買い物や宿泊先などで地元の住民らと接触を重ねることで、地区内で入院が必要な重症者がどれだけ発生するかをコンピューターで予測した。
その結果、他地域からの流入を止めている場合、地区内で感染者が発生しない限り重症者も出ないが、地区内で住民1人が発症すると、しばらくして1日あたり最大12人の重症者が出ると予想された。これに対し、7日間に1人の割合で首都圏などから感染者が訪れ続ける場合、夜間の外出制限などの対応を全くしないと、最大36人の重症者が出ると見込まれた。
一方、同様に首都圏の感染者が訪れても、スーパーの利用を地元住民に限定し、ナイトクラブやバーを閉鎖すると重症者は最大27人になった。さらに、宿泊先など観光客と接する地元の従業員を対象に5日ごとにPCR検査をして陽性者を隔離すれば、観光客の流入を止めた場合と同じ水準かそれ以下まで重症者を抑えられた。
倉橋教授は「宿泊先の従業員らのPCR検査と、地元の人と観光客の接触をできる限り制限する方法を模索すべきだ」と話している。【岩崎歩】