高い?低い? 新型コロナの抗体検査結果、東京は「0・1%」

新型コロナウイルスの感染後にできる抗体を保有している人の割合を把握する調査を3都府県の計約8000人に実施した結果、東京で0・1%、大阪で0・17%、宮城で0・03%から抗体が検出された。スペインの5%、米ニューヨーク市の20%と比べて大幅に低いが、この数字は何を意味するのか。
東京の抗体保有率は感染者数にもとづいた感染率の0・038%を上回った。大阪も感染率は0・02%だった。
厚生労働省は、精度を確保するため、複数の手法を使ったという。「体内での持続期間」や、「2回目の感染から守る機能があるかどうか」など抗体の性質はまだ確定していないとしている。
「この数字だけでは答えは出せない」と指摘するのは、東北大学災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)。検査キットに血液を加えて現れるバンド(帯状の色)の濃さで判定するが、「陽性か陰性かの判断基準が検査者によって安定しない。検査対象の年齢層や人口の分布が違う場合、都府県同士の比較も同一に論じられない」という。
抗体が検出された場合、一般的には無症状を含めて過去に新型コロナに感染したことを意味するとされるが、安心はできないという。児玉氏は「別種のコロナウイルスに感染して獲得された抗体である可能性もあるほか、膠原(こうげん)病や、悪性腫瘍を持つ免疫異常の人が持つ別の抗体が反応する場合もある」とする。
児玉氏は抗体検査について「イタリアや米ニューヨーク程度の感染者数ならば役に立つかもしれないが、診断された感染者数の少ない日本では、集団免疫についての議論もできない。一喜一憂してはいけない数字だ」と述べた。