長崎新幹線 国の複数アセス案 佐賀知事「話にならぬ」不快感あらわ

九州新幹線・長崎ルートで佐賀県内を通る未着工区間(新鳥栖―武雄温泉)の整備方式を巡り、国土交通省が16日に提案したフル規格を含む五つの整備方式に対する同区間の環境影響評価(アセスメント)の実施を、佐賀県は拒否した。突然示された腹案に山口祥義知事は17日、「驚いた。議論もなく話にならない」と不快感をあらわに。県は一貫してフル規格整備に反対しており、本格的な協議に入った矢先、両者の溝が改めて浮き彫りになった。
両者による5日の協議で、同省は「膠着(こうちゃく)した事態を前に進めるためのアイデアがある」と説明していた。県によると16日夕、同省から「知事に伝えたいアイデアについて」という趣旨のメールがあり、提案書が送付された。県は、アセスメントが不要なフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)も提案に含まれていることなどから「実質的にはフル規格整備に持って行くための提案」と判断。直後に拒否する意向を電話で伝えたという。
17日の県議会6月定例会の一般質問で、県の南里隆・地域交流部長は「在来線をそのまま利用するスーパー特急やFGTなどにもアセスが必要なのか、私は疑問に思う」と答弁。山口知事は報道陣の取材に「(同省が)『急いでいる』ということだ」と反発した。佐賀市の秀島敏行市長は報道陣に「国からの急ぐという意思表示だろうが、県は尻をたたかれる感じがするだろう」と県側の姿勢に理解を示した。【竹林静、池田美欧、山口響】