【政界マル秘淑女録】小池百合子都知事 老練な政治家も舌を巻くほどの“変幻自在ぶり” 再選ならこれまで以上に検証される言動と実績の整合性

東京都の小池百合子知事は先週12日、記者会見を開き、18日告示の都知事選(7月5日投開票)に再選を目指して出馬する考えを正式に表明した。
会見を見ながら、「さすがだ」と感じた。原稿なしにカメラ目線で「立て板に水」のごとく言葉が出てくる。言語明瞭にして、話も分かりやすい。意地悪い質問も巧みにかわしながら、自らの主張に引き込んでいく。すばらしい会見テクニックだ。もともとテレビキャスターだけあって、「いかにテレビ映りを良くするか」を熟知しているのである。
小池氏は、広報への強いこだわりがある。
新型コロナウイルス対策の際、自らCMに出たり、一日に何回も記者会見をして感染者数を発表したりするのも、小池氏ならではの政治スタイルだろう。「こんなに頻繁に記者会見を行う必要があるのか」「単なる数字の発表ならば、知事自ら会見しなくてもよいのでは」などの批判もあったが、どこ吹く風である。
小池氏の精神的強さは定評がある。批判や疑惑を突き付けられても、なんら臆することはない。叩かれれば叩かれるほど強くなっていくのだ。堂々としたその姿は「凄み」さえ漂わせる。
小池氏は、細川護煕元首相が立ち上げた日本新党から国政進出を果たす。その後、新進党、自由党、保守党、自民党などを転々と渡り歩くが、どの政党でも時々の権力者に重用され、一定のポストを得て活躍している。
2016年8月に都知事に就任し、翌年7月の都議選では、地域政党「都民ファーストの会」を創設して「小池旋風」を巻き起こす。この直後、都知事在職のまま、自らが代表となる国政政党「希望の党」を立ち上げ、政権獲得を宣明した。
一時は大変な勢いを見せていたが、いわゆる「排除」発言で失速する。同年10月の衆院選で敗退した後は一転、国政と距離を置く姿勢を表明していた。ただ、水面下では、二階俊博幹事長との人脈を使って自民党との関係修復のチャンスをうかがっているとされる。
こうしてみると、老練な政治家も舌を巻くほどの変幻自在ぶりが見えてくる。
「希望の党」騒動の際、民進党の前原誠司代表は当初、同党のほとんどの議員を受け入れることや、小池氏が知事を辞職して国政に出馬すると思い込んで、「民進党解体、希望の党への合流」を進めていた節がある。
しかし、実際は前原氏の期待はことごとく裏切られ、結果的に野党第一党の民進党を消滅させることになってしまった。まんまと小池氏の手練手管にはまった形である。小池氏はそうした「怖さ」も秘めた政治家なのである。
有力な対抗馬がいない状況を考えると、小池氏の都知事再選は濃厚だ。
再選されれば、これまで以上に、小池氏の言動と実績の整合性が検証されることになるだろう。どんなに美しく言葉を積み重ね、記者会見をうまくこなしても、事実がついてこなければ説得力は生まれない。
これから小池氏は、得意とする「広報」では解決できない領域で真価が試されることになる。
■伊藤 達美(いとう・たつみ) 政治評論家。1952年、秋田県生まれ。講談社などの取材記者を経て、独立。永田町取材三十数年。政界、政治家の表裏に精通する。著作に『新人類は検事が嫌い』『東條家の言い分』『検証「国対政治」の功罪』など多数。『東條家の言い分』は、その後の靖国神社公式参拝論争に一石を投じた。