埼玉、栃木、群馬の三つの県境が接する「3県境」で、地元の男性が設置していたカメラ台が近くの田んぼに落下し、記念スタンプがなくなるなどの被害があったことが埼玉県加須(かぞ)市への取材で判明した。市はカメラ台があった栃木市に連絡。同市は悪質ないたずらや物損事故などの可能性があるとみて、栃木県警の地元交番に相談している。
加須市によると、3県境近くの「道の駅かぞわたらせ」に17日昼ごろ、3県境の見学客から「荒らされている」と連絡があった。市職員が現場を確認したところ、3県境の標柱そばの広場に置かれていたカメラ台(高さ約1メートル)が倒されて田んぼに落下し、椅子代わりの丸太の上に置かれていた、来訪者が感想を書くノートが入った木箱が地面に下ろされていた。別の木箱の中にあった記念スタンプもなくなっていた。
栃木市によると、市職員と県警栃木署員が現場を確認した際にはタイヤのような痕跡があり、何らかの車両が丸太などに衝突した可能性も考えられるという。同市は物損事故として交番に届け出た。
3県境は、埼玉と栃木にまたがる渡良瀬第一貯水池(谷中湖)南西側の堤防下にある。周囲は水田で、平地にあり歩いて行ける3県境は全国的にも珍しい。群馬県板倉町を含む地元の3市町は2016年3月、Y字形用水路の接点にあった標柱を3県境と確認。観光スポットとして活用しようと、18年4月に共同で民有地を買い上げてアプローチ道路を整備し、記念スタンプも置いていた。
感想用のノートは栃木市の地主、古澤満明さん(86)が置いた。25年ほど前から3県境を探す愛好家らのために看板を手作りし、案内役も務めてきた。カメラ台も、3県境に立った姿を「自撮り」できるように、愛好家の要望に応えて4、5年前に設置したという。古澤さんは「多くの人が見に来てくれる場所。この機会に、看板なども新しくしてほしい」と望んだ。
3県境の整備費は2市1町で半額分を均等割、残りを人口比割で負担すると決めている。加須市の担当者は「なぜこんなことをするのか、残念だ」と話す。今後は案内板の固定などを3市町で改めて検討するという。【岡礼子】