電通の最大イベントが「五輪」、組織委は電通に頼るのが前提に

国の持続化給付金事業の再委託などで、にわかに注目を集めることになった大手広告代理店・電通。今回の問題がなぜ国民の怒りを買っているかといえば、電通が“濡れ手に粟”で懐を潤わせている国家事業の予算が、公金で賄われているからだ。
そんな電通が手がける中で、最大規模のイベントが「五輪」だ。『電通巨大利権』などの著書がある博報堂出身のノンフィクション作家・本間龍氏が言う。
「電通はIOC(国際オリンピック委員会)をはじめ、FIFA(国際サッカー連盟)や国際陸上連盟、国際水泳連盟などと密接な関係を保っている。とりわけIOCとは、史上初の民間運営方式で行なわれた1984年ロス五輪以降、太いパイプを築いている」
それゆえ、東京五輪では招致段階から電通が大きく関与してきた。
招致活動中の2009年3月、当時の石原慎太郎・東京都知事は、招致活動の基礎調査などの特命随意契約を電通と結び、「電通が持っている影響力は、他の広告会社では及ばない。(電通を)選ばざるを得ない」と語った。前出・本間氏が語る。
「東京五輪では国内外の企業約80社と総額3500億円に上るスポンサー契約を成立させた。大規模なスポンサー集めは“素人”の組織委員会には到底できないので電通に頼るのが前提だった」
東京五輪でも政府や都からのカネが大量に電通に流れている。非営利系シンクタンク「構想日本」や、ジャーナリズムNGO「ワセダクロニクル」などが、政府や官公庁が公表する統計や予算をデータベース化した「JUDGIT!」というサイトによれば、2016年以降、内閣官房から「東京オリンピック・パラリンピック競技大会推進本部経費」として電通へ支出していることが確認できる。
「組織委員会は、開閉会式の企画・運営、出演者の調整や、聖火リレーについても、公募と専門家による審査の上で、電通に業務委託すると決定しました。東京都聖火リレー実行委員会による、聖火リレーランナーの募集業務なども電通が3億3981万円で落札しています」(前出・本間氏)
来夏の五輪開催が危ぶまれている中、6月16日付の日刊スポーツでは、組織委員会理事で電通元専務の高橋治之氏がインタビューに答え、「中止は絶対に避けなければならない」と語り、新型コロナの感染状況が改善しない場合は「もう一度、延期を働きかけるべきだ」とも言及した。
組織委員会が「再延期はない」との公式見解を示す中、電通OBの高橋氏がそれに真っ向から対立する発言をすることが、電通にとっての五輪の大きさを物語っているともいえるだろう。
※週刊ポスト2020年7月3日号