省内の連絡などになぜFAXを使うのか、法務省が国会議員の質問に答えた内容が、ツイッターで話題になっている。
理解を示す向きもあるが、時代遅れではないかといった声も多い。このやり取りを紹介した官僚出身者に話を聞いた。
法務省は「事務を迅速かつ確実に処理するため」としたが…
国会議員は会期中、政府に質問主意書を提出して、それへの答弁書を求めることができる。今回話題になったのは、法務省の大臣官房が主意書への職員の対応の仕方をまとめた「質問主意書関係事務の手引き~はじめて主意書を担当する方へ~」の内容だ。
NHKから国民を守る党の浜田聡参院議員は2020年6月15日、この手引きについて、いくつかの疑問点をまとめて主意書を提出した。
手引きでは、主意書の扱いについて、「関係局部課等にFAX送信する」という表現が見られる。これに対し、浜田氏は、省庁内の調整事務として未だにFAXを使用し続けているのはなぜかと問いただした。そして、閣議や記者クラブなど用として「答弁書セット版」152部を紙に印刷するなどとしたことについて、必要最小限に留めてテキストファイルなどの電磁的記録で代替することはできないのかとも問うた。
浜田氏は、FAXや紙の印刷を求めることは、新型コロナウイルス感染防止のためのテレワーク推奨方針にも反するとして、デジタル化の推進を加速すべきだと主張している。
これに対し、法務省は26日に答弁書を出し、FAXについては、「事務を迅速かつ確実に処理するため、必要に応じてファクシミリを使用している」と説明した。また、デジタル化については、「事務について可能なものは電子メールを活用するなどし、事務の効率化を図っている」と述べた。
「忙しすぎて変えられない」「一部の上層部に変える気が無い」
確かに、前出の手引きによると、2019年の国会から質問主意書や答弁書のペーパーレス化が行われた。そのうえで、質問主意書のPDFファイルが国会から法務省にメールで送られる取り扱いに変更されたとしている。
しかし、浜田氏と法務省とのやり取りを紹介した元官僚でユーチューバーの「おもち」(@ex_kanryo_mochi)さんは6月25日、浜田氏に指摘されたことに官庁は恥じるべきだとツイッターで述べ、「スローガンだけの『働き方改革』とか『国会が』と他責する前に、こういうFAX・紙文化廃止など初歩的な改善をすべき」と指摘した。法務省の答弁書については、FAX廃止などについて、「『検討する』という前向きな回答すらない。働き方改革への意識ってこんなレベルなんですね」と嘆いた。
「おもち」さんは29日、官庁が未だにFAXや紙を使っている理由について、J-CASTニュースの取材に対し、「慣例」によるものだとコメントした。
一方で、「紙で確認した方がミスも無く確実」という職員も一定数いるという。
「FAX番号しか記載していない国会議員の方がいらっしゃる」
国会議員とのやり取りについては、「おもち」さんは、月次、年次報告、調査などについて、時には数百ページもの紙で関係議員に投げ込みを行うことがあるとした。
その理由については、「行政側が一度紙で配布したものを、国会議員の許可無しに突如電子で配布することはできません。ごく一部の方ですが、国会議員によっては、『なぜ私に報告が無いのか』と怒鳴りつけてくる方がおられます」と説明する。また、「国会議員に資料を行き渡らせるためのメーリングリストのようなものが存在しません。作ればよいのですが、これも『忙しすぎて変えられない』であったり、『メールを使っていない国会議員』がいらっしゃるため、作りきれません」としている。
一方、官庁内でのやり取りについて、質問主意書に関しては、こう言う。
国会答弁書に関しては、「作成したら、紙でインデックスを付けて答弁者や国会参加者へ配布する必要があります。そもそも国会へタブレットの持ち込みが禁止されているので、紙で対応するしかない状況です。上記は国会会期中に起こる作業ですが、印刷がマストなので確実に出勤が求められます」とした。
「予算書の印刷に2~3日、デジタル化で相当程度の削減ができる」
デジタル化の効用については、「おもち」さんは、こう言う。
一方で、紙での保存も適切な方法となる場合もあり、その際は専門家に依頼すべきだと「おもち」さんは指摘した。
今後について、「おもち」さんは、元官僚、できれば現役官僚にYouTubeで霞ヶ関の仕事について良い点、悪い点含めて暴露してもらうことも考えているとした。また、FAX、紙文化に疑問を持っている国会議員には、ツイッターのダイレクトメッセージ(DM)などを通じて連絡を取り、各省内部で改善できることについては改善を求めていくよう働きかけるとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)