5日連続で50人を超える新型コロナウイルスの新規感染者が確認された東京都で、「東京アラート」に代わり、感染状況や医療提供体制を評価するための新たな7項目の指標が公表された。だが、従来設けられていた休業再要請などの目安となる具体的な数字は盛り込まれなかった。専門家は「大阪府の『大阪モデル』に見習うべきでは」と苦言を呈する。
都の新たな指標は、(1)新規陽性者数(2)救急への発熱相談件数(3)感染経路不明者の数と増加比(4)検査人数と陽性率(5)救急による搬送先の選定が20分以上決まらないなどの事例数(6)入院患者数(7)重症患者数-の7項目。これらに関して、都は「モニタリング会議」を原則として週1回開いて分析。前の週や緊急事態宣言発令中の最大値と比較して総合的に評価し、状況によっては再度の休業要請をする可能性もある。
医療態勢を重視するのは現実的ともいえるが、数値基準がないのは分かりづらい。あの「東京アラート」でさえ、休業再要請の目安となる数値を設定していた。
数値での基準を示さない理由について小池百合子都知事は記者会見で、「どの数字まで行けばスイッチをオンにするということではなく、全体像をつかまないといけない」と説明した。
西武学園医学技術専門学校東京校校長で医学博士の中原英臣氏は「数字を用いた明確な基準がなければ、専門家が判断したといっても詳しい経緯が都民に伝わらないのではないか。客観的に評価できる基準がなければ、感染予防策をどの程度頑張ればいいのかすらも分からない」と批判する。
都の6月30日の新規感染者数は54人。夜の繁華街関連で15人、感染経路不明は28人で、飲み会などで感染し、家庭内に持ち込んだと疑われるケースも出ている。
隣接する神奈川県では、31人の新規感染者中、26人が横浜市内のホストクラブ従業員で、うち数人は東京都新宿区で多くの感染者が出たホストクラブでも働いている。東京の「ホストクラスター」が波及した可能性もある。
東京の感染を止めなければ全国に広がりかねない状況だが、前出の中原氏はこう指摘した。
「『大阪モデル』は、数字を用いて基準が明確化され、現状を把握しやすかった。こういった政策を素直に参考にすればいい。都は大阪と別のやり方にこだわろうとしているようにも見受けられるが、都民が実験対象にされているかのようだ」