同僚へのストーカーで免職となったのは重すぎるーー。諭旨免職処分を受けた男性が処分は無効であるとして、会社側に雇用契約上の地位の確認を求めた訴訟で、東京地裁は7月2日、処分無効の判決を出した。 共同通信(7月2日)によると、男性は2017年9月~11月、同僚女性が帰宅する際に、後をつけたり同じ電車に乗ったりしたという。 ツイッターではこの記事に対し、「同僚に対しての事案なのに」「被害者の方が辞めていくんだろうな」など驚きの声が上がっている。 被害者からすれば、ストーカー相手が再び会社に戻って来るというのは不安でしょうがないだろう。社員が社内の相手にストーカー行為をしていた場合、どのような懲戒処分がされるのだろうか。今回の処分は重すぎるのだろうか。笠置裕亮弁護士に聞いた。 ●退職金が支払われる「諭旨免職処分」 ーー男性は諭旨免職処分を受けたということですが、これは懲戒解雇とはどう異なるのでしょうか 懲戒解雇処分よりも若干軽く、労働者に対し退職願を提出させた上で解雇ないし退職扱いとする処分です。多くの企業では、懲戒解雇処分に次いで2番目に重い懲戒処分として定められています。 退職金の全部または一部が支払われることが多く、この点で懲戒解雇とは異なります。 仮に、労働者が退職願の提出に応じない場合には、懲戒解雇されることが予定されているため、裁判所では、懲戒解雇に準じ、本当に諭旨退職処分が有効であるかどうかについて、慎重な審査がなされています。 具体的には、就業規則などに懲戒処分をなしうることが明記されているかどうか、違反行為の程度に照らしてバランスのとれた処分内容と言えるかどうか、同種の先例に比べて処分内容が平等と言えるかどうか、本人に弁明の機会を与えるなどの適正な手続を踏んでいるかどうかが考慮されています。 ●過去にもセクハラ事案で「解雇は重すぎる」判断 ーー今回のように懲戒処分を争った場合、裁判所ではどのような判断がされていますか これまでも、社内でのセクハラ行為を問題視され、懲戒処分がなされた事件は多数あります。 例えば、Y社事件(東京地裁平成21年4月24日判決)では、部下の女性らに対し飲み会の場で身体を触るなどのセクハラを繰り返したことに対して会社が下した懲戒解雇処分の効力が争われました。 裁判所は、加害者の行状は責められるべきものであるとしつつも、刑事犯罪といえる極めて悪質な加害行為を行っているとまでは言えないこと、これまでセクハラ行為について指導等を受けたことはなく、これまでの会社への貢献の程度が大きいものであること、深く反省の意を示していることなどを考慮し、懲戒解雇処分は重きに失すると判断しています。
同僚へのストーカーで免職となったのは重すぎるーー。諭旨免職処分を受けた男性が処分は無効であるとして、会社側に雇用契約上の地位の確認を求めた訴訟で、東京地裁は7月2日、処分無効の判決を出した。
共同通信(7月2日)によると、男性は2017年9月~11月、同僚女性が帰宅する際に、後をつけたり同じ電車に乗ったりしたという。
ツイッターではこの記事に対し、「同僚に対しての事案なのに」「被害者の方が辞めていくんだろうな」など驚きの声が上がっている。
被害者からすれば、ストーカー相手が再び会社に戻って来るというのは不安でしょうがないだろう。社員が社内の相手にストーカー行為をしていた場合、どのような懲戒処分がされるのだろうか。今回の処分は重すぎるのだろうか。笠置裕亮弁護士に聞いた。
ーー男性は諭旨免職処分を受けたということですが、これは懲戒解雇とはどう異なるのでしょうか
懲戒解雇処分よりも若干軽く、労働者に対し退職願を提出させた上で解雇ないし退職扱いとする処分です。多くの企業では、懲戒解雇処分に次いで2番目に重い懲戒処分として定められています。
退職金の全部または一部が支払われることが多く、この点で懲戒解雇とは異なります。
仮に、労働者が退職願の提出に応じない場合には、懲戒解雇されることが予定されているため、裁判所では、懲戒解雇に準じ、本当に諭旨退職処分が有効であるかどうかについて、慎重な審査がなされています。
具体的には、就業規則などに懲戒処分をなしうることが明記されているかどうか、違反行為の程度に照らしてバランスのとれた処分内容と言えるかどうか、同種の先例に比べて処分内容が平等と言えるかどうか、本人に弁明の機会を与えるなどの適正な手続を踏んでいるかどうかが考慮されています。
ーー今回のように懲戒処分を争った場合、裁判所ではどのような判断がされていますか
これまでも、社内でのセクハラ行為を問題視され、懲戒処分がなされた事件は多数あります。
例えば、Y社事件(東京地裁平成21年4月24日判決)では、部下の女性らに対し飲み会の場で身体を触るなどのセクハラを繰り返したことに対して会社が下した懲戒解雇処分の効力が争われました。
裁判所は、加害者の行状は責められるべきものであるとしつつも、刑事犯罪といえる極めて悪質な加害行為を行っているとまでは言えないこと、これまでセクハラ行為について指導等を受けたことはなく、これまでの会社への貢献の程度が大きいものであること、深く反省の意を示していることなどを考慮し、懲戒解雇処分は重きに失すると判断しています。