【側近が語る小池都政2期目】3密回避と発信したいジレンマに悩む…ひらめいた「62区市町村課題動画」

東京都知事選は5日、現職の小池百合子氏が圧勝した。新型コロナウイルス対策を背負った選挙戦は、各陣営にとって異例尽くしだった。
小池氏は、都庁近くにある「都民ファーストの会」本部に公務を終えて入っても、新規の陽性患者数を確認し、常に険しい表情を隠せずにいた。「3密」(密集、密閉、密接)をつくらない選挙。候補者としての発信と、現職都知事としての発信などに、ジレンマを抱えていたようだ。
周辺に「選挙も11回目だけど、こんなのは初めて…」と漏らすこともあった。そんな時、ひらめくのが小池流だった。
「オンライン選挙。外に出られない分、コンテンツを増やしましょう」
都内の62区市町村分について、それぞれの課題を語る動画をつくる作戦に出たのだ。この4年間で視察した記憶をたどるため、小池氏は愛用のiPadをめくった。
「◯◯の現場に行ったのは、台風の3日後でしたね」
動画にはこだわった。4年前の崖から飛び降りたときの闘争心を再確認するため、毎回、「私は闘い続けていく」というセリフで締めくくった。
報道各社の情勢調査では、早い段階から「小池氏リード」が伝えられた。だが、オンライン選挙で街頭に立つのを控えた小池氏は街の反応を体感できず、苦しんでいた。
「政策をつくるのは大事だけど、広く人々の意見を聞く広聴も大切。衆院議員時代は、お餅つきからおみこしまで、どんどん回った。そこで、人々の声を聞いてきた」
こう語っていた小池氏は今回、外気を感じられぬまま投票日を迎えた。
小池氏には「横文字」が多い。「ワイズスペンディング」「時差ビズ」「東京アラート」…。聞き慣れないカタカナに眉を潜める人も多い。それでも、不思議と「それって何?」といった疑問が話題になった。
言葉で社会を動かすには「大義と共感が必要だ」と語ったこともある。
小泉純一郎政権で環境相となった際には「クールビズ」を定着させた。環境保護という「大義」が、軽装を望む人たちの「共感」を呼び、夏の景色を一変させた。
そんな閣僚時代と都知事では「どちらが大変なのか」と、私は素朴に質問したことがある。小池氏は即答した。
「都知事は、全閣僚を一人で引き受けているようなもの。やりがいと忙しさは、比べものになりません」
都民1400万人の暮らしを守るため、この先どんな「大義」を掲げ、「共感」を得ていくか。小池都政2期目が始まる。
■伊藤悠(いとう・ゆう) 東京都議(3期)。都民ファーストの会政策調査会長代理。1976年、東京都生まれ。2002年に早稲田大学卒業後、衆院議員秘書を経て、03年に目黒区議に初当選。05年、都議に。17年に都民ファーストの会創設メンバーに加わる。同年、都議会経済港湾委員長として豊洲移転問題を担当。その後、都議会新型コロナ対策特別委員会委員長も務めた。