豪雨災害「その後」も怖い避難所“3密リスク” コロナとの「複合」も警戒…専門家「食中毒や、大腸菌感染の懸念も」

気象庁は8日、岐阜、長野両県に大雨特別警報を発表、最大級の警戒を呼び掛けた。記録的な豪雨となった九州では、多くの地域で河川の氾濫などで道路が冠水、住宅が泥水や土砂に埋まった。水害による直接の被害も恐ろしいが、避難生活や復旧作業で警戒すべきなのが感染症だ。今年は新型コロナウイルスの感染もあるだけに、一層の注意が必要だ。

岐阜県下呂市では飛騨川が氾濫、大雨による土砂崩れなどで道路が寸断され、約400世帯が孤立状態となった。
8日朝の時点で九州の犠牲者は福岡、熊本両県の計56人。心肺停止は2人、行方不明者は12人に上る。10日午前6時までの48時間予想雨量は、東海350~450ミリ、近畿250~350ミリ、九州南部200~400ミリ、四国、関東甲信200~300ミリと各地で大雨が予想されている。
熊本県など各地の避難所では、新型コロナ対策として職員が問診票の記入や検温に追われた。「避難所クラスター(感染者集団)」を発生させないための取り組みだが、3密(密閉、密集、密接)の回避は簡単ではない。
同県人吉市の体育館では、2時間ほど濁流の中で助けを待ったという女性(75)が「水に漬かった時と同じ服をずっと着ている」と衛生面を心配した。
「災害時には感染症のリスクが高くなる。新型コロナが流行している地域でも同様だ」と語るのは、東北大学災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)だ。
「水不足や、インフラの寸断による流通の停止で手洗い、マスクが十分にできないことが原因になりやすい。他の世帯と共同で過ごす避難所生活では、感染性胃腸炎やインフルエンザなどが流行するケースもある」
特に水害時には特有の感染症が流行するケースがあるという。
児玉氏は、「普段の舗装や整備された空間では過ごす日常生活でめったに発生しないが、土壌など自然界に潜む肺炎を起こす真菌やレジオネラ菌、傷口から侵入する破傷風菌などが汚水によって噴出する。特に乾燥した際に舞い上がったものを吸い込み、人から人に感染することがある」と語る。
過去の大規模災害時にも感染症が蔓延(まんえん)したケースがある。
2011年の東日本大震災や、16年の熊本地震など、30カ所以上の被災地や避難所を回った災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏は、「東日本大震災でも被災から数日で体調を崩す人も少なくなかった。ストレスがたまり、免疫が落ちるためか、感染症にもなりやすい。普段はかかりにくい食中毒になったり、汚泥に含まれた溶連菌や大腸菌などに感染したりする懸念もある」と振り返る。
防災用品でも忘れがちな感染対策グッズも備えておくべきだという。
和田氏は、「普段からマスクや消毒液などは自ら用意しておいた方がいい。避難所ではトイレなど共有スペースはリスクが大きいので、利用したままの手で目をこすったり、食事したりすることは避けるべきだ。幼児や子供なども周囲を走り回らせないよう、家族が見守ることも必要だ」と語った。