花を持って性暴力に抗議する「フラワーデモ」が11日、東京都千代田区のJR東京駅前で開催され、主催者発表で約100人が参加した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、東京駅前での開催は4カ月ぶり。参加者はマスク姿で、性暴力被害を受けた人たちのスピーチに耳を傾けた。【塩田彩/統合デジタル取材センター】
フラワーデモは2019年4月、性暴力事件の無罪判決が相次いだことを契機に東京と大阪で始まった。その後1年で全国に広がり、性暴力問題への社会的関心を喚起する運動となった。今年6月には法務省が性犯罪に関する刑事法改正の検討会を設置し議論を進めている。コロナ禍でも一部都市で開催されてきたが、感染者の多い東京では今年4月以降、オンライン会議システムを使ったイベントや、ツイッター上で共通ハッシュタグをつけて投稿する「ツイッターデモ」として開催していた。
セカンドレイプの誤り、伝えたい
11日は、教師からの性暴力被害を受けた女性や男性の被害者らが、毎回マイクを消毒しながら次々と訴えた。横浜市でフラワーデモを主催する森沢法子さん(49)は、14歳の頃に実父から性暴力被害を受けた体験を語った。森沢さんは最近、SNS上で、性暴力被害者などに処方される緊急避妊薬について「普通の生き方をしていたら必要にならない」など、性暴力被害者を二重に傷つける「セカンドレイプ」にあたるような投稿を複数見たという。「私は特別な人間ではなく、ごく普通の中学生でした。一言も父に嫌だと言えなかったけれど、それは(性暴力を)受け入れたわけではない。正気でいたら生きていけないから自分の感覚をまひさせるんです」と訴え、「セカンドレイプの誤りを一つ一つ伝えることで、社会の意識を変えていきたい」と語った。
東京のフラワーデモに初回から参加し、スピーチは3回目という別の女性は、「最初の頃は輪の一番後ろから見るだけで精いっぱいでしたが、被害者の方々が声を上げる姿を見るうちに、自分の悔しい思いも語りたいと思うようになりました」と語った。知人から性暴力を受けた後、数日は自分の身に起きたことが理解できず、通常通りに出勤していたが、数日後に被害を認識し、起き上がることもできないほどの重度のうつ状態に陥ったという。自殺衝動にもかられるようになり、自分の体を汚いと感じて入浴がほとんどできない状態が今も続くという。
警察は被害届を不受理とし、「事件化はできないけれど、早く忘れて前に進んだほうがいい」と女性に言ったという。女性は「前に進めというのなら、きちんと加害者を処罰してほしい」と語気を強める。「自分の性被害に向き合うことはとても苦しくつらい作業。だけど、それでも声を上げるのは、自分の経験したことをなかったことにされたまま終わりにされるのが悔しいから。何度も死にたいと思ったが、なかったことにされたまま一人で消えていくのだけは悔しかった」と声を震わせた。さらに、「被害者が自分にむち打って話をしなくても、『警察が被害届を受理しないのはおかしい』とか『性暴力に対する刑が軽すぎる』という声が自然に上がる社会であってほしかった。ひとりでも多くの人に関心を持ってもらいたい」と訴えた。
「被害者は一生懸命伝えようとしてきた」
フラワーデモを最初に呼び掛けた一人で編集者の松尾亜紀子さん(42)は「今まで語れなかった被害者がフラワーデモで語り始めたと言われるが、ほんとうにそうだろうか。被害者はこれまでも一生懸命伝えようとしてきたけれど、社会に聞く力がなかったのだと思う。この1年、フラワーデモで皆さんと一緒に身に付けてきた、語る人を信じるというスタンスや聞く力を、社会全体に広げていきたい」と語った。フラワーデモは今後も感染者数の推移などを見ながら何らかの形で開催を続けていく方針という。