「Go To」地方首長懸念、野党は延期迫る

15日に開かれた衆院予算委員会の閉会中審査で、野党は22日に始まる観光支援事業「Go To トラベル」に矛先を向け、政府に延期を迫った。東京都の新型コロナウイルス感染者の増加を受け、地方の首長からも感染拡大を懸念する声が上がっており、西村経済再生相は釈明に追われた。
再生相「感染防止と両立」

「感染が収束したと言い切れない中で、なぜやらないといけないのか。政府として見解を出すべきだ」
国民民主党の馬淵澄夫氏はこう語り、感染者の多い都内から地方に人が流れることに懸念を示した。
事業の実施を巡っては、全国の知事らから「この時期に全国一斉にスタートするのはいかがなものか」(山形県の吉村美栄子知事)などと疑問を呈する声が相次いでいる。西村氏は「様々な意見があることは承知している」と述べ、専門家の意見を踏まえて対応を判断する考えを示した。
野党がやり玉に挙げたのは、政府が4月7日に閣議決定した新型コロナの感染拡大に伴う緊急経済対策だ。この文書では、事業について「感染症の拡大が収束した後に実施する」と記されている。
馬淵氏は事業を実施する前提は崩れているとして、「閣議決定を覆していることにならないか」と追及した。西村氏は5月25日に緊急事態宣言が解除されたことに触れ、「感染防止策を講じながら経済社会活動との両立を図っていく段階だ」と反論。ただ、「足元で感染が増えていることは十分理解している」として、状況が変化しつつあることは認めた。
この事業は国内の旅行代金の半額相当を補助するもので、予算規模は約1兆3500億円に上る。立憲民主党の本多平直氏は「コロナの中で、政府がお金を出して旅行を推進するキャンペーンをやっている国はあるのか」と問いただした。西村氏は「お金を出しているかどうかまでは知らないが、観光を推進している国はある」と語った。
参考人として出席した経済財政諮問会議メンバーの竹森俊平・慶応大教授は、事業の是非を問われ、「もし感染の拡大が起こった場合、将来的にも観光にとって必ずしもいいことではない」と指摘。「慎重に議論し、専門家の意見とすり合わせてよく検討してもらいたい」と注文をつけた。

この日は、緊急事態宣言を再度発令する状況かどうかについても議論が交わされた。
政府は新規感染者数や医療提供体制、PCR検査の実施状況などに着目し、総合的に判断するとしている。
参考人として出席した分科会の尾身茂会長も「緊急事態宣言の出た4月初旬頃とは明らかに違う」と指摘。西村氏も、「緊急事態宣言を出して、国民に自粛や休業をお願いする大きな波にはまだ至っていない」との認識を示した。