迷惑系YouTuber「へずまりゅう」のコロナ感染騒動に巻き込まれた僕の身に起きたこと

山口県内各地を巡った後に新型コロナウイルスの感染が明らかになったユーチューバー「へずまりゅう」の騒動はすでに各所で報じられており、ご存知の方も多いと思う。

そして、筆者はその「騒動」に巻き込まれた一人である。なぜ筆者が彼と「濃厚接触」したのか? その結果、どのような厄介事に巻き込まれたのか? それらを書いていきたいと思う。

◆迷惑系YouTuber「へずまりゅう」とは何者か?

この記事を見て頂く前にまず知って頂きたいのが、へずまりゅうこと原田将大(29歳)(以下へずま)という人物がいったいどういう人物なのかということだ。

彼はYouTubeで再生回数を得て人気を獲得するユーチューバーをやっている。活動の中で、売名をするために有名なユーチューバーを狙って凸撃し、コーラにメントスを入れて嫌がらせをするということをやっていた。いわゆる「迷惑系ユーチューバー」だ。

では、そんな彼を何故辺野古新基地建設をはじめとする沖縄県内の政治状況や全国各地の国政選挙や地方自治体選挙を取材している僕がへずまりゅうを取材したのかというと……。

火災で消失してしまった沖縄の観光名所である首里城の復興を願った寄せ書きに対し、落書きするという暴挙を犯したからである(この暴挙の時、へずまに同行し、笑いながら落書きする様子を撮影していたのは沖縄県在住の迷惑系配信者)その事は全国ニュースにもなった。

沖縄県民をはじめとする全国各地の首里城に思いを寄せる方を侮辱した事について、本人への事実確認と何故やったのかを取材するためであった。

そして取材後に彼が新型コロナウイルスに感染していたことが明らかになり、取材をした自分は濃厚接触者になるので新型コロナウイルスに感染している恐れもあるのでPCR検査を受けざるを得なくなった……というわけだ。

◆迷惑系ユーチューバーへずまりゅうとの濃厚接触

6月29日。この日僕は東京都知事選挙の取材を行なっており、その時に偶然にもへずまが、ホリエモン新党(NHKから国民を守る党)の立花孝志の応援演説に来るという事で、急遽新橋のSL広場前に駆けつけたのだった。

街宣模様はあまりにも酷く、今までいろんな街頭演説を取材してきたがこれほどまでに騒音に近いような街頭演説は今までになかったといえるシロモノ。

その中でへずまは、首里城の寄せ書きに対してもヘラヘラとごめんねと言葉で謝り態度では謝らないというような感じで振る舞い続け、以前彼が某ユーチューバーに対し暴行を加え逮捕された件に関しても、立花候補と「ここに立っているメンバーは犯罪者予備軍ですよ」などとふざけていた。

そうこうしている内に街頭演説も終わり、僕はへずまに取材を行うため、彼が街宣カーから降りてくるのを待ち取材を開始した、首里城の落書きに関しては沖縄の新聞が首里城側に取材しているのと大きく食い違いがあり、この件に関してはこれから明らかになってくるであろう。

そんな感じで、迷惑系ユーチューバーへずまりゅうへの取材は終了した。これから起こる騒動に巻き込まれることも知らずに……。

◆騒動の始まり

ことの始まりは、7月11日に愛知県警岡崎署がへずまが逮捕された逮捕理由は某大手スーパーで会計が終了していない魚の切り身を食べた窃盗の罪でだ。(参照:東京新聞)

この会計前の魚の切り身を食べる様子を、へずまは自身のYouTubeにアップしており、それを見た店長が警察に通報し逮捕されたというわけだ。

それだけならまだ無視していたのだが、その後15日にへずまが新型コロナウイルスに感染していた事が発覚した岡崎市の保健所は6月29日から7月11日までに濃厚接触された人々に対し注意を呼びかけたのである。(参照:東京新聞)

この間にもへずまを取り調べした警察官3人とその奥さん計4名の感染と警察官10名が自宅待機になるなど事態は深刻な状況となっていった……。

筆者がへずまに取材をした6月29日から7月11日までの間に、へずまは東京、千葉、広島、そしてへずまの地元である山口県へと39度の熱があったのにも関わらず、検査もなしマスクも付けずに歩き回ったという。

当然、29日に濃厚接触した自分も岡崎市の保健所が呼びかけた接触者に該当する。そのため、ニュースを知った15日当日、まずは岡崎保健所に電話をしてみた。しかし、そちらの担当者は、なぜかへずまのニュースを知っておらず、一から説明をするはめになった。岡崎市の保健所では、「100%とは言えませんが恐らく大丈夫」というなんとも心許ない言葉をもらっただけだった。不安は一向に解消しないので、次に沖縄県がやっている帰国者・接触者コールセンターに問い合わせてみた。すると「こちらでは判断できないので保健所か最寄りの病院に電話して」との事だった。結局、その日はもう20時を回っており保健所も病院も電話受付をやっていないので問い合わせるのを断念した。

因みにその時、たまたま頂いていた抗体検査キットで検査したら陰性でだったので少しは安心できた。

◆たらい回し

翌16日は用事があったため動けず、17日に改めて電話をしてみた。

この日、沖縄県議会議員の方に相談したら「取り敢えず中部病院に電話をしたらいい」と言われたので15時頃に連絡してみた。すると病院側から「保健所からの連絡がないとPCR検査出来ません」と言われたので、保健所に電話をした、

ここで、へずまに関してはまた新たな事実が報じられていた。へずまが地元山口県に行った際に自覚症状があったのにも関わらず山口県内で焼肉パーティを開き、隣にいた県内の大学生が感染してしまったという事が全国ニュースになって流れてきたのだ。山口県知事が異例の記者会見を行い「なんてことをしてくれたんだ」と怒りを露わにし、山口県が「へずまりゅう」と名前を出して「接触者は連絡して下さい」と発表したのである。

当然、沖縄の新聞でも報道され、テレビでも報道された。ところが、あろうことか沖縄の中部保健所の職員さんはその事を知らなかったのである。挙げ句の果てには「濃厚接触者として連絡してもらえるように感染者の方に電話していただけますか? それなら対応できます」と言うではないか。筆者も職員の方に何度も説明していたのだが、当然ながらへずまは勾留中で電話連絡なんかできないにも関わらず、である。

◆5日経過したけどまだまだたらい回し

筆者がたらい回しされ不安が募っている間にも、へずまによるコロナ感染者発覚の報は止む事なく、次々に感染が明らかになってきていた。もはやへずまは全国的にスーパースプレッダーになりつつあった。

7月19日に、筆者は再度、沖縄で一番最初に電話した帰国者・接触者相談センターに問い合わせをしてみた。しかし、第一報から4日経ち、これほどまでに報じられているにも関わらず、職員の耳にはへずまのニュースは届いていないようで、「月曜日に保健所に電話をしてください」と言われただけだった。

翌20日、ツイッターを見ていたら、19日に玉城デニー沖縄県知事が、米軍人の感染者が多いキャンプハンセンがある金武町総合保健所で行われている「ウォークスルーPCR検査」を視察したというツイートを投稿していたのを見つけた。沖縄で米軍が無許可で公園を使用し、その時の影響で感染者が増えていたというために行われていたのだろう。このツイートを見て、藁にもすがる思いで電話をしたのだが、なんと19日限りの実施でやっていないと言われてしまった……。

結局、再び中部保健所に相談してみることに。

ここでついに、前回とは別の、へずまのニュースも知っている職員さんが電話に出てくれたのだ!

彼は、へずまの一件について、「非常にとんでもない問題で許し難い」との認識で、「もしかしたら、それだけだと検査できない可能性もありますので仁尾さんは東京へ6月17日~7月6日に行ったということも踏まえた上で検査していただける病院を探しますね」と言ってくれた。すぐに沖縄県の中部にある徳洲会病院を紹介していただき16時までに行ってくださいと言われたので車で1時間かけて向かった。

徳洲会病院の駐車場に着き、電話をするとPCR検査専用のドライブスルー外来と呼ばれる駐車場に案内された。待つこと更に1時間、徳洲会病院から電話がかかってきて「本日は一般外来の方が多く担当医の手が回らなく検査できない」との旨を伝えられた。こちらもすでに不安なままいたずらに時間が過ぎており、未発症感染者として拡散してしまっているかもしれない不安を抱えている上に、車で1時間かけて来てるので、このまま引き下がる事もできない。何とか粘ったのだが、挙げ句の果てには「保健所には15時30分までに来てくださいとお伝えするようにしていたのですが、取り敢えずこちらとしては本日の検査は咳が出ていなかったり熱がない限りはできないので保健所に連絡してください」と保健所から指定された時間とは違うことを言い出しまるで筆者か保健所の職員の聞き間違いかのように言われてしまった。

すぐさま、保健所に連絡したのだが「代わりの病院もご紹介できない」という状況は変わらることはなかった……。最終的には次の日には確実にできるようにと確約をしていただきその日はすごすごと帰宅した。

◆やっとたどり着いたPCR検査

21日。遂にPCR検査を受けれることになったので朝9時に再び中部徳洲会病院へと車を走らせた。

到着し、徳洲会病院に電話をかけ、待つこと約1時間ぐらい。ドライブスルー外来から少し離れた場所に案内され、PCR検査を開始した、最近は唾液検査も可能になったというが、自分がやったのは鼻咽頭検査と呼ばれる鼻の中に綿棒を入れて検体を採取する手法のものだった。

検査自体は3-4分ほどで終了し結果は2日後に分かるとの事でやっとPCR検査が終了し家路についた。

23日。ついに検査の結果が出た。12時ぐらいに電話がかかってきてようやく自分の状態を知ることができたのだ。

結果は「陰性」であった、その際に「PCR検査の感度は50~70%ぐらいなので1週間自主隔離をして体調が悪くなったら、また連絡してください」と医師に告げられた。

取り敢えずホット一息。やっとなんとか安心することができた。しかし、自分はたまたまラッキーだっただけで、もしかしたら感染していたかもしれない。さらに未発症感染の状態で、人に感染させていたかもしれない。そう思うと心底恐ろしい。こんな思いは二度とゴメンなので、今後も勿論感染症対策はやろうと思う。

それにしても、今回へずまが感染したこと自体については批判するつもりはないが、4日に症状が出ていたのにも関わらずマスクもしないで道端やカラオケ店で思いっきり咳をし、「悪い、コロナ」と冗談まじりに言い、ウイルスを撒き散らし実際に感染を広げていた事はとても許される行為ではないだろう。

……と、ここまで書いたところでちょうどPCR検査でかかった費用の請求書が届いた。果たしていくら請求されるのか……。SNSでは「高かった」という話も散々見ていたので、ヒヤヒヤしながら封書を開けてみる。

2250円……。思ったより高くない。ほっと胸を撫で下ろした。

ただ、高くはないとはいえ、馬鹿にできない金額であるのは確か、仮にCOVID-19の疑いが濃厚な症状や条件が揃った人がいても生活に困窮している人にはかんたんに受けられないかもしれない。また、今回の筆者のケースのように、たらい回しにされて数日経過してしまうなんてことも起こり得るわけだ。やっぱり、現状PCR検査のハードルはまだまだ高いのではないか。そういうことに気づけただけでも今回の経験は貴重だった……と言いたいところだが、一人の身勝手な行動によりここまで苦労するとは、ホントに迷惑な話であった。「迷惑系YouTuber」だけに……。

<文・写真/仁尾淳史>

【仁尾淳史】

におあつし●沖縄をメインにツィキャスを配信する市民メディアとして活動中。辺野古・高江問題などに切り込んだ取材を行っており、取材対象者と近い立場から目線での取材に定評がある。TwitterのIDは@atsushi_mic