戦争と核兵器のない21世紀を願って23年前に福岡県太宰府市の公園に埋められたタイムカプセルが「長崎原爆の日」の9日に開封される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い来年に延期されることになった。
幅広い層の県民でつくる運営委員会の主催で「第10回県非核と平和のつどい」が1997年7月、筑紫・朝倉地区で初めて太宰府市で開かれ、約1700人が参加した。その際、参加者や吉永小百合さん、黒柳徹子さん、加藤剛さんら著名人が寄せたメッセージをカプセルに入れ、市役所近くの露切公園の一角に埋設した。
運営委員長の稲村晴夫弁護士(68)によると、世界平和と核兵器廃絶が実現していることに希望と確信を持ちたいと2020年8月9日の長崎原爆投下時刻の午前11時2分に開けることにしたという。ところが新型コロナの感染拡大で運営委員会は実施は困難と判断、1年延期を決めた。
稲村弁護士は「20年以上も先には核兵器がなくなっているかと考えたが、米露による中距離核戦力全廃条約の失効や北朝鮮の核開発などで危機的状況である一方、核兵器禁止条約に保有国以外の多くの国が賛同するなど混沌(こんとん)としている」と話し、来年の開封に合わせて集会を開く準備を進めることを明らかにした。問い合わせは、ちくし法律事務所(筑紫野市)の稲村弁護士(092・555・7220)。【桑原省爾】