大阪府の吉村洋文知事(45)は5日の定例記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大防止にポビドンヨードを含むうがい薬が有効とした4日の会見について「(伝わり方に)誤解がある。予防薬でも治療薬でもない」と自らの発言が誤った方向で報じられていることに対し釈明した。
依然として新型コロナに効果的な治療法が確立されない中で、4日の吉村氏の「うがい薬がコロナに効くのではないかという研究が出た」という発言は大きな注目を集めた。会見直後からドラッグストアなどではポビドンヨードを含むうがい薬「イソジン」などを求め、客が殺到。売り切れが続出した。同時に医療関係者らからは科学的根拠が薄いといった批判も出ていた。
吉村氏はこの日、「(ポビドンヨードを含むうがい薬は)感染拡大防止に寄与する可能性があるが、コロナを予防するわけではないし、治療薬でもありません。昨日の発表でも、予防効果があるなんて、一言も僕は言っていませんから」とキッパリ。ワイドショーなどで“コロナの特効薬”と受け取られるような報じられ方をしていることには「(メディアは)ちゃんと発信する義務があるんですよ」とムッとした表情を見せた。
自治体のトップが医療分野に踏み込み、特定の薬品を勧めることを疑問視する声もある。吉村氏は「政治的介入がいかがなものかという意見もあるが、僕自身は府民の皆さんに呼び掛けるのが仕事。信念を持ってやっているので」と語気を強めた。
その上で「『うがい薬でそれはないだろ…』と僕も思ったが、感染拡大には役立つとは思う」と有効性を主張。買い占め、転売をやめるよう強調しながら、「風邪の症状が出ている人と同居の家族」「夜の街で働いている人」「医療、介護従事者」には、「ポビドンヨードを含むうがい薬を、ぜひ使ってもらいたい」と呼び掛けていた。
■うがい薬高値で転売も 吉村知事らが、うがい薬の使用を呼び掛けたことを受け、関連商品がフリーマーケットアプリ「メルカリ」などで高値で転売されていることが5日分かった。中には、無許可での販売が法律で禁止されている医薬品に該当する商品もあるとみられ、メルカリは同日、注意喚起の文書を掲載した。