次期衆院選に向けた動きが活発化する中、新潟1区は、立憲民主党の西村智奈美衆院議員(53)から自民党候補が議席を奪還できるかどうかが焦点だ。しかし同党新潟県連は、1区の現職とは別の候補で選挙戦を戦おうとしている。保守分裂の火種がくすぶり、先行きは不透明だ。(本田賢一)
1区の前回選挙は、西村氏と自民・石崎徹衆院議員(36)=比例北陸信越=の一騎打ち、平成24、26年の選挙も事実上の一騎打ちとなっている。石崎氏は24、26年の選挙で、それぞれ約1万9000票差、約8000票差で西村氏に勝利。29年の前回選挙は西村氏が1万5000票差で石崎氏を破り、同氏は比例で復活当選した。
次も激しい選挙戦が予想されるだけに自民としては一枚岩で臨みたいところだが、そう簡単ではなさそうだ。
新たな候補者選び
自民では選挙区支部の支部長が公認候補となるのが慣例だが、1区支部長の石崎氏は元秘書への暴行容疑などで昨年9月、書類送検された。
新潟市内の1区エリアの県議、市議らからなる同党新潟支部は、石崎氏では選挙を戦えないとして、同氏に代わる支部長候補を選ぶ会議を7月18日に開催。同支部の党員アンケートで多くの支持を得たという塚田一郎元参院議員(56)、佐藤純県議(50)、高橋直揮県議(49)の3人から候補者を絞り込む作業を行った。
選挙区支部長選任の最終的な権限は党本部にある。石崎氏は書類送検されたものの、現時点で起訴・不起訴が確定していないため、党本部も同氏の処遇について判断を下していない。にもかかわらず、地元で新たな支部長候補を選ぶという異例の事態だ。
3人のうち、高橋県議は辞退を表明。残る2人による決選投票になると思いきや、休憩を挟んで再開された会議の冒頭、同支部の小島隆代表(72)から次のような説明があり、急転直下の展開となった。
「佐藤氏から『次期衆院選に向けて一本にまとまる必要がある。そのためには意欲のある塚田氏に協力するのはやぶさかではない』との申し出をいただいた。投票をせずに塚田氏を支部長候補に推挙させていただきたい」
会議後、小島代表は「自民が(選挙で)まとまるには支部長候補の選考は投票によらないほうがいい」と説明。休憩の間に“調整”が行われたもようだ。
ただ、塚田氏は昨年、道路整備をめぐる「忖度(そんたく)発言」で国土交通副大臣を事実上更迭され、参院選新潟選挙区で敗れた経緯がある。選挙戦は決して楽ではない、とみる党員は多い。
同月29日、同党新潟県連は選挙対策委員会を開き、1区支部長候補として塚田氏を推すという新潟支部の決定を了承した。今後、党本部に上申し、判断を仰ぐ予定だ。
石崎氏が出馬宣言
7月下旬、新潟市中央区の新潟駅前大通りでつじ立ちを行っていた石崎氏に、身内の“石崎外し”の動きについて聞いた。
「党本部では起訴・不起訴がはっきりしてから判断することになっている。現時点でははっきりしていないのに、こうした選考が行われるのはおかしなこと」
次期衆院選には「こうした動きとは関係なく、現職の国会議員として1区から出馬する」と断言した。
一方、1区の議席を守る立場の立民・西村氏。地元の政党関係者は同氏の選挙での強さをこう解説する。「1区には企業が多く集まる新潟市中央区や、企業の製造拠点がある東区などが含まれ、支持基盤の(労働)組合員が多い」。連合新潟は西村氏を推薦議員としている。
気になる次期衆院選の時期について、自民党新潟支部の文書では「今の状況では来年の任期満了まで延びそうな状況も見える」としている。時期は諸説あるが、そのとき与野党にどんな風が吹いているのだろうか。