群馬県中之条町の川で川崎市の無職女性(当時48歳)の遺体が見つかった事件で、強盗殺人の疑いで再逮捕された住居不定の会社員、小船治容疑者(34)と埼玉県久喜市の無職、山本結子容疑者(30)らの足取りが判明した。捜査関係者によると、無職女性には自殺願望があったとみられ、容疑者らは自らを自殺志願者と装って無職女性らと合流していたという。
捜査関係者によると、無職女性は7月上旬、自殺願望があるという神奈川県の女性派遣社員(24)とSNSを通じて知り合った。その一方、山本容疑者は7月下旬、SNSを通じて自殺願望がある人を募った。これに派遣社員が呼応し、無職女性を誘う。事件の始まりだった。
7月31日夜。小船、山本両容疑者と派遣社員、無職女性の4人は高崎市のJR高崎駅周辺で合流し、小船容疑者が30日に茨城で借りたレンタカーに乗り込んだ。容疑者らは派遣社員と無職女性に「自分も自殺する」と伝え、車は中之条町の四万川ダム付近に向かう。
4人が乗った車は、ダム近くの駐車場で止まった。日付が変わって8月1日未明。車外に誘い出された無職女性は、金属バットで殴打された上にロープで首を絞められて意識を失い、駐車場から約700メートル離れた「摩耶大橋」で約30メートル下を流れる川に落とされたという。捜査関係者によると、防犯カメラ映像などから午前0時から2時にかけての出来事だったとみられる。この間、派遣社員は睡眠薬をのみ、意識がない状態だったとされる。
無職女性が遺体で見つかったのは4日後の8月5日。死因は外傷性ショックで、肺挫傷や後頭部の損傷、多発性肋骨(ろっこつ)骨折が認められた。
その頃、群馬県警に電話が寄せられた。「高崎でレンタカーを借りて山で自殺しようとした」「レンタカーは7月30日に返しました」。派遣社員からで、その内容は虚偽だった。
小船、山本両容疑者と派遣社員。3人は別の場所で見つかる。派遣社員には家族から警察に行方不明届が出ていた。警察が行方を調べていたところ、8月6日、派遣社員は宮城県内で見つかる。そこには小船、山本両容疑者もいた。無職女性の運転免許証を所持していることがわかり、事件に関与した疑いが浮上する。容疑者らは事件当時に乗っていたレンタカーを同県内で乗り捨て、別の車を借りていた。
群馬県警は7日、無職女性の遺体を遺棄した疑いで両容疑者を逮捕。27日には無職女性を殺害して所持品のキャッシュカードなどを奪った強盗殺人容疑で再逮捕した。派遣社員の女性も犯人隠避容疑で逮捕されたが、処分保留で釈放された。
今後は、動機の解明が焦点となる。小船容疑者は容疑を認める一方で、山本容疑者は否認しているという。ある捜査関係者は「『こんな理由で……』というようなことが動機かもしれない。派遣社員に手をかけなかった理由も判然としていない。裏付けを重ねていきたい」と話す。【菊池陽南子、川地隆史】