連続在職日数が歴代最長になってわずか4日――。安倍首相(衆院山口4区)が退陣を表明した28日、山口県内の政界関係者や県民の間に大きな衝撃が走った。地元の支持者や自民党幹部からは「歴代最長を祝ったばかりだったのに……」といった驚きの声が聞かれた。安倍首相は今後も議員として活動を続ける意向を示している。
下関市の安倍事務所には多くの報道陣が詰めかけ、事務所スタッフが対応に追われた。
同市は、連続在職日数が歴代最長の2799日になった24日、市役所1階に祝意を表す横断幕を設置したばかりだった。
前田晋太郎市長は「大変残念だ。まずは療養に努めてほしい」との談話を出した。村岡知事も報道陣の取材に応じ、「国政を担いながらきめ細かく山口県のことにも心を寄せていただいた」と振り返った。
県議会の柳居俊学議長は「コロナ禍を乗り越え、国の明るい未来を切り開いていただけると期待していただけに誠に残念」とコメント。長門市の江原達也市長も「市の発展に様々な助言をしてもらった。一日も早く健康を取り戻すことを祈る」とした。
下関市竹崎町のシーモール下関で買い物客が足を止めてテレビニュースに見入るなど、県民の間でも突然の退陣表明に注目が集まった。
山口市駅通りのパート女性(61)は「東京五輪や新型コロナウイルス対策に最後まで取り組みたかったはずだ。気持ちを考えるといたたまれない」と話した。
長門市では2016年12月、安倍首相とロシアのプーチン大統領の首脳会談が行われた。JR長門市駅前で土産物店を営み、会談をきっかけにロシア料理ピロシキの販売を始めた男性(77)は「体調が回復したら、もう一度、米国やロシアとの外交で力を発揮してほしい」と期待を寄せた。
与党からは残念がる声やねぎらいの言葉が相次いだ。
自民党県連幹事長で下関市区選出の友田有県議は「持病を抱えながらも常に国のことを優先して政権運営に取り組んでこられたことに敬意を表したい」と話した。
公明党県本部の先城憲尚代表代行は「長きにわたって国家のことを真剣に考えてこられた。しっかり休んでまた国家のために尽くしていただきたい」と語った。
野党側は厳しく批判した。
国民民主党県連の加藤寿彦代表は「退陣によって森友・加計問題といった疑惑について、追及しにくくなるとしたら残念だ」と語気を強めた。共産党県委員会の吉田貞好書記長は「新型コロナ対応や経済政策などでの失策で国民の怒りの声が上がり、政治的に追い込まれたための辞任というのが真相だろう」と述べた。