2019年10月に長野県内を襲った台風19号災害が、循環器や脳血管の疾患にどのような影響を与えたかを調べた実態調査報告会が27日、長野市保健所で開かれ、災害発生直後の2週間で心不全や脳出血などが増加していたことが報告された。調査に携わった医師は「避難所環境の改善や災害発生後の迅速な医療関係者の連携など、改善すべき点はまだあると思う」と指摘した。
調査は19年10~12月、長野市の市民病院▽長野赤十字病院▽篠ノ井総合病院▽長野松代総合病院▽長野中央病院――の主要5病院に循環器疾患、脳血管疾患で緊急入院した患者計823人をベースに、18年10~12月の827人、17年10~12月の776人と比較した。
災害発生前後では、過去2年と比較し疾患全体の発症数は大きく変わらなかったものの、心筋梗塞(こうそく)の一歩手前とされる「不安定狭心症」の患者数が19年は54人で17年23人、18年29人より多かった。また、災害発生直後の2週間で両疾患の発症の増加傾向が認められた。
長野市民病院循環器内科の三浦崇医師は、同規模の災害の疾病調査が乏しく比較は難しいとした上で「循環器・脳血管疾患の増加傾向は想像していたよりも小さかった。ただ、災害直後2週間で両疾患の増加傾向が見えたので避難所などでの迅速な医療的な取り組みが重要と言える」と話した。【野呂賢治】