安倍晋三首相(65)の後継を選ぶ自民党総裁選が本格化してきた。菅義偉官房長官(71、無派閥)が出馬の意向を固め、岸田文雄政調会長(63、岸田派47人)は出馬を明言、石破茂元幹事長(63、石破派19人)も意欲を見せている。3氏を軸とした構図が固まりつつあるが、カギは安倍首相の出身派閥である党内最大派閥・細田派(98人)の動向だ。
「ずっと(安倍首相の)側で支えてきた私としても大変残念ですが、国民の命と暮らしを守るため、全力で職責を全うしてまいります」
菅氏は29日、安倍首相の辞任表明を受けて、ブログでこう発信した。
これまで、菅氏は「ポスト安倍」について、「考えたこともない」と否定してきたが、同日、都内で二階俊博幹事長(81、二階派47人)らと会談し、「総裁選日程が(9月1日に)決まったら正式に出馬表明をしたい」と意欲を伝えた。二階氏は「頑張ってください」と激励したという。
二階派は幹部らが30日、対応を協議し、いち早く「菅氏支持」を確認した。竹下派(54人)でも参院側を中心に、菅氏を支援する声が拡大しつつある。31日には菅氏に近い無派閥議員らも会合を開き、菅氏に出馬を要請する。
岸田氏は31日朝、日本テレビ系「スッキリ」に生出演し、「コロナ禍で感染症に強い社会をつくる。経済対策として『格差』に取り組む」などと出馬意欲を語った。
これまで、安倍首相との信頼関係を背景に、大派閥との連携を図る戦略を描いてきた。30日には、細田派のオーナー的立場にいる森喜朗元首相(83)や細田博之会長(76)、麻生派(54人)の麻生太郎副総理兼財務相(79)らと個別に面会し、支持を求めたが、菅氏の動きは誤算だったようだ。
麻生氏は「安倍首相の意向がはっきりしていないから決められない」と、岸田氏に伝えたという。
石破氏は窮地に立たされた。
党内基盤が脆弱(ぜいじゃく)なため、二階氏に接近して支持を当て込んだが、二階派が「菅氏支持」に傾いたため、国会議員の支持拡大が難しくなった。
石破氏は30日、大津市で講演し、「党員一人ひとりを大事にする自民党でありたい。国会議員のための自民党ではない」と訴え、総裁選が党員・党友の投票を見送り、国会議員だけの両院議員総会の方式になるのを牽制(けんせい)した。
3氏以外では、河野太郎防衛相(57、麻生派)について、小泉進次郎環境相(39)が「河野氏が出るなら応援する」と明言したが、出馬に必要な20人の推薦人確保が高い壁となっている。