全国の小中高校では新型コロナウイルス感染予防に配慮しつつも順次新学期が始まっているが、多くの大学では春から門が閉ざされたままだ。9月からは一部で対面授業が再開されるが、完全なキャンパスライフにはほど遠い。授業はオンラインでアルバイトも帰省もできず、就職活動もままならない。現役学生の嘆きの声を聞いた。
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文部科学省のまとめでは、7月時点で施設を全面開放している大学は約15%。入学式からオンライン対応が続き一度もキャンパスに入れていない学生もいるという。
今年から神奈川県内の大学に入学した女性も、オンライン授業が続いている。「必修科目も多く、週2日は朝から夕方まで授業が入っている。食事や休憩以外はパソコンの前に座っていたという日もざら」だという。
佐賀県の実家を出て一人暮らし中だが、「アルバイトも探せていないので、実家に帰ってしまいたくもなるが、親からは『何かあったらと考えると素直に歓迎できない』と言われてしまった」。
就職活動への影響も小さくない。東京都内の大学に通う大学3年生の男性は「この夏は企業の短いインターン(就業体験)に参加しているが、今年はオンライン開催という企業も多い。オフィスの様子を見られることもメリットだと思っていたのでやや味気ないが、企業によっては早期選考に直結するケースもあるので無視はできない」と語る。
実家から通学しているが、「家族の目もあり、用もなく外出はできない。秋学期からゼミなど少人数の講義ではキャンパスを利用できることになりそうだが、それ以外は自宅にこもる日がほとんどだろう」と話す。
9月以降の授業は学校によって対応が異なる。 早稲田大は、田中愛治学長のメッセージで、秋学期以降ゼミや実習形式など一部の授業で対面授業を再開する一方で、オンライン授業も拡充し、新しい授業形態を模索する見通しを発表した。
青山学院大は9月からの後期授業を原則オンラインで実施すると発表。関西学院大は、独自の「活動制限レベル」を設定したうえで一部対面授業を再開する。
秋の風物詩でもある大学祭では、早稲田大の「早稲田祭」、慶応義塾大の「三田祭」、中央大学の「白門祭」などでオンライン開催が発表された。7月に開催された慶大湘南藤沢キャンパスの「七夕祭」では、VR(バーチャルリアリティー=仮想現実)空間で、各団体が映像を配信する形式だった。
クラスター(感染者集団)が発生した大学で、学生が中傷や差別を受けた例ももあり、各大学は慎重な判断を迫られている。ただ、立命館大学新聞が学部生を対象にしたアンケートでは、2・3%が退学を本格的に考えていて、「どうするか考えている」を含めると計9・8%に上った。休学を視野に考えていると答えた学生も計25・6%と事態は深刻だ。
いつ平時に戻るかもわからないが、前向きな議論も必要だ。