自民党総裁選をめぐっては、大阪維新の会と自民党大阪府連の思惑が交錯している。維新代表の松井一郎・大阪市長は、3人の候補予定者のうち最有力とされる菅義偉(すがよしひで)官房長官との蜜月を背景に大阪都構想などの主要政策を推進し、「菅首相」誕生を歓迎する。一方の自民府連は、菅氏が総裁選を制した場合、“維新寄り”にうつるスタンスが変わるかどうか気をもんでいる。
「安倍晋三首相のもとで8年近くにわたり、政権の屋台骨として支えてきた。緊急事態の中で国家を運営していくには適任だ」
維新の吉村洋文代表代行(大阪府知事)は2日、菅氏の出馬表明に先立つ記者会見で、菅氏をこう持ち上げた。菅氏の対抗馬となる岸田文雄政調会長や石破茂元幹事長を含め「誰が首相になろうと、維新は是々非々でやる」とも述べた。
総裁選の行方は維新の浮沈にかかわる。都構想に加え、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)や2025年大阪・関西万博の誘致といった目玉政策は「安倍-菅-松井」ラインがあってこそ前進してきた。
松井氏は「あらゆる形で安倍首相と協議しながら進められた」と話す。菅氏とも「週に1回ペースで連絡を取り合っている」(関係者)といい、年末には維新創設者の橋下徹前代表を交えた4人での会食が恒例となっている。
与野党の枠を越えた親交が続いてきたのも、安倍首相の悲願である憲法改正をめぐり、国政政党「日本維新の会」が一貫して協力姿勢を示してきたことが大きい。
一方で、苦杯をなめさせられてきたのが、自民府連だ。
都構想をめぐる膠着状態を打開するため松井、吉村両氏が入れ替え出馬した昨年4月の大阪府知事・大阪市長のダブル選でも、安倍首相と菅氏は自民推薦候補を応援するための大阪入りを見送った。
対照的に、石破氏は10年以上前から自民府連との関係を構築してきた。ある府議は「地方選挙の応援演説にも駆け付けてくれ、恩義を感じている議員は少なくない」と打ち明ける。府連所属の一部の国会議員らは岸田氏を支援するとみられる。
大阪市議団の北野妙子幹事長は現在の官邸と維新の関係を「属人的だ」と指摘。菅氏が次期首相になった際は「難産のたまものである都構想反対を認めてもらわなくては」と強調する一方、不安も口にした。
「どうなることかと心配な面もあるが、まずは信じて進んでいきたい」