群馬や栃木で子豚・子牛が大量盗難…どこに消えた? 中国産畜産品の輸入減少で専門家「加工され市場に出回っている可能性も」

群馬県や栃木県で、子豚や子牛が大量に盗まれる事件が相次いでいる。警察は窃盗容疑で捜査しているが、夜間に慣れた様子で盗み出す手口には共通点もある。誰が何のために盗んだのか。そして盗まれた豚や牛はどこへ消えたのか。専門家に聞いた。

群馬県の前橋市や太田市、伊勢崎市の養豚場などで7月上旬から8月にかけ、少なくとも7回にわたり、飼育されている豚約670頭が盗まれた。群馬県警によると、主に子豚が狙われた。被害総額は約2000万円に上るとみて窃盗容疑で捜査している。前橋市内で被害に遭ったのはいずれも「ユニット型」と呼ばれる簡易型の豚舎で、人がいない夜間に盗まれたとみられる。
栃木県足利市では6月から8月にかけ、牧場で子牛が盗まれる被害が3件相次いだ。栃木県警足利署によると、生後2週間の黒毛和牛など、計6頭(時価計275万円)が牛舎から盗まれた。
現場近くの防犯カメラの映像では、夜間に3人の男が子牛を車に運び、盗み去る様子が写されていた。子牛は前足と後ろ足を縛られた状態で男2人に運ばれていて、暴れる様子はなかった。
『農業ビジネス』編集長でジャーナリストの浅川芳裕氏は、「以前から、外国人らが畜産物を盗み、山奥で解体して食べるという事案もあったようだ」と語る。
ただ、合計約670頭ともなれば個人で消費するには多すぎるが、どのように処理したのか。そこで、畜産品について気になるデータがある。
浅川氏によると、新型コロナウイルスが感染拡大し始めた今年2月以降、中国からの畜産品全般の輸入額が激減しているという。「2019年は月90億~100億円程度だが、今年2月は40億円と半減しており、その後も全体的に減少傾向で、日本国内の中国産畜産品の在庫が減ってきているのではないか。盗まれた豚などが加工されて出回っている可能性も否めない」と指摘した。
農産物直売所、養豚などに関する出版やコンサルティングなどを行うベネットの青木隆夫社長は、「20~30キログラム程度の子豚は盗品を扱うマーケットに流され、養豚に適した専門的な環境を持つ業者が購入したうえで飼育している可能性も考えられる」との見解を示した。