水と安全はただ、という時代は少なくとも日本に住む子供にとってはとっくに終わってしまったのかもしれない。東京・東村山で1月から6月にかけて、帰宅途中の10代前半の少女に無理矢理わいせつ行為を繰り返していた男が警視庁捜査1課に逮捕された。親がその場にいて助かった事例もあるが、本人は黙秘に転じており、今後、埋もれた余罪が明らかになる可能性もある。
学校の始業式にあわせて行動開始
警視庁捜査1課に強制性交致傷容疑などで逮捕されたのは、東村山市本町に住む無職、池川翔悟被告(31)。学校などから帰宅途中の少女を尾行し、自宅を特定して暴力を振るってわいせつ行為に及ぶ、という卑劣な犯行を繰り返していた疑いがある。
その執拗さは異常以外の何物でもない。
池川容疑者が今年に入って犯行を始めたのは1月6日。学校が3学期の始業式を迎え、街中に少女があふれ始めるその日にあわせて行動を開始したとみられる。
少女に「こんなことしたらばれるよ」と言われ……
手口は乱暴だ。学校近くを自転車でうろつき、目当ての少女が出てきたところから尾行し、帰宅途中にわいせつ行為に及ぶというものだ。
1月6日夕に犯行に及んだ際は10代前半の少女の首を後ろから掴んで押し倒し、「服を脱げ」と命令しながら少女の体をまさぐったが、「こんなことしたらばれるよ」と言われて逃走したという。
たしかに周囲に防犯カメラはあり、池川容疑者の姿も映っていた。だが、少女の予言とは裏腹に、池川容疑者がすぐ捕まることはなかった。
後に「子供の体が好きだった」と捜査1課の取調官に打ち明けた池川容疑者だが、警察の手が迫ってこないことに気をよくしたのか、逃走劇の後にその暗い性衝動を抑えるどころか、新たな犯行に及び始めた。
エスカレートした犯行手口
池川容疑者が犯行をエスカレートさせ始めたのは6月ごろ。折しも新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が明けてまだひと月も経たないころで、感染者数の多い都内では、人通りも例年より少なく、普段よりも監視の目が少ない時期だった。
犯行の手口も洗練を重ねていた。1月の時点では路上で犯行に及ぼうとしていた池川容疑者だが、遅くとも6月以降は大胆にも少女の自宅で犯行に及ぶ作戦に切り替えたとみられる。
少女が自宅に入るまで待ってから…
自転車で少女を尾行するところまでは同じだが、少女が自宅に入るまで待つことにしたのだ。少女が家のカギを開けて入り、中からカギを閉める前のわずかな時間を狙ってドアを開け、自宅のなかで暴行してわいせつ行為をしようとするようになった。家の中に家族さえいなければ、周囲には見られず、音は漏れない、というわけだ。
6月10日には学校から帰宅途中だった10代前半の少女を自宅のアパートまで尾行。少女が玄関のカギを開けようとしたところ、池川容疑者は少女の腕を掴んで「静かにしろ」と脅迫したという。母親が自宅にいたため、わいせつ行為をする前に逃げたが、度重なる犯行にもかかわらず、逮捕を免れたことに気をよくしたのか、翌日以降も池川容疑者は「少女狩り」に繰り出している。
11日には別の10代前半の少女の後を付け、今度は首を絞めて脅迫。少女が大声を上げたため、再び逃走したが、さらにその次の日の12日にも、同じ少女の自宅周辺を訪れていたことが防犯カメラで確認されている。
「うっぷんを晴らそうと思った」
防犯カメラの映像などで、7月に入ってようやく、捜査1課は池川容疑者を特定して逮捕した。だが、被害に遭った時点で親がいなかったり、声を上げられなかったりすれば犯行は未遂に終わらない。少女たちが親や警察にすべてを報告しているとは限らず、今後も余罪が増える可能性があるのだ。
逮捕当初は「イライラしてうっぷんを晴らそうと思った」などと容疑を認めていた池川容疑者。逮捕が重なるにつれ口は重たくなり、いまは黙秘しているという。何を秘しての黙秘なのか。捜査1課は池川容疑者の余罪についても、引き続き捜査を続けている。
(末家 覚三/Webオリジナル(特集班))