女性覆う先の見えない不安 自殺急増 専門家「相談して」

国内の女性の自殺者が急増していることが20日、判明した。新型コロナウイルスの感染拡大により、健康被害や経済的困窮など、先の見えない不安が広がっていることも影響しているとみられる。全体の自殺者数も1~6月に減少していたが8月に大幅に増加。相談機関への相談も増えており、専門家らは「ストレスを自覚」すると同時に、「とにかく相談してほしい」と呼びかける。
■相談年齢が低下
《死にたい》《消えたい》
NPO法人「あなたのいばしょ」が運営している24時間制のチャット相談には、こうした相談が毎日100件以上寄せられている。3月に立ち上げて以降、相談件数は増加し計約1万5千件にも上る。相談者の6割は女性で、平均年齢は25・1歳だ。
「相談を寄せる平均年齢がどんどん下がってきて10代も増えている」。代表で慶応大3年の大空幸星(こうき)さん(21)はそう話す。職場や仕事のストレス、学校や学業の問題…。新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が出された4月ごろは、子育てや家事のストレスなどの相談も多かったという。
大空さんは「母子家庭の方からの相談も多く、コロナによって、金銭的に苦労を強いられている可能性がある」と分析する。
■自殺率高い日韓
日本の自殺者数は、平成15年の約3万4千人をピークに年々減少。令和元年は2万169人となり、昭和53年の統計開始以来、過去最少となった。一方、年代別の自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)では、10代だけは横ばい状態で深刻な状況は続いている。
日本と同様の傾向となっている韓国も自殺は社会問題化。2018年には、1万3670人が自ら命を絶ち、10万人あたりの自殺者は26・6人と、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち最も多かった。
厚生労働省によると、新型コロナの影響で、解雇や雇い止めで仕事を失った人は見込みも含めて全国で5万4817人(今月11日現在)。そのうち非正規雇用は約5割を占める。非正規雇用者の割合は男性の2割に対し、女性は5割超と、女性の非正規雇用者が解雇や雇い止めに追い込まれている実態がある。失業率が上昇すると、自殺も増加する傾向にあり、予断を許さない状況だ。
また、コロナ禍での生活環境変化の影響で増えた疾患について、東京の医療情報提供サービス会社「eヘルスケア」が8月に全国の医師に尋ねた結果、回答した561人のうち4割近くが「精神疾患」と回答。コロナのストレスが重くのしかかっていることがうかがえる。
■誰もがストレス
自殺の要因にはさまざまな理由があるとみられるが、女性が急増した背景には何が考えられるのか。
新潟青陵大大学院(社会心理学)の碓井真史教授は新型コロナの影響を指摘。「休校や在宅勤務、買い物の制限など、家事や育児などの女性の負担が増え、本来ならストレスにならなかったこともストレスになっている。ストレスを発散することも難しくなっている」と分析する。
長引くコロナ禍への不安や景気悪化など先行きの見通せない状態に、気づかないうちにストレスがたまっている可能性があるという。「何が起きるか分からないというのは非常にストレスがたまりやすくなっている状態。徐々に疲れがたまり、じわじわっとつらいものが襲ってくる。コロナによるストレスだとまずは自覚することが大事だ」と呼びかける。
大空さんも「悩みを抱えている人はとにかく相談してほしい。そうでない人は周りにそういう人がいないか見渡して、心配な人がいたら声をかけてほしい」と訴えた。