ジャパンライフ、高額資産家に集中営業 チェックシートで資産把握、ランク分け

磁気健康グッズの販売預託商法を展開したジャパンライフ(本社・東京都、破産手続き中)を巡る巨額詐欺事件で、同社が顧客の資産状況を把握したうえで高額資産家に集中的に営業していたことが捜査関係者への取材で判明した。営業の際には資産を持つ高齢者らを生け花教室に誘うなどして信用させていた。
警視庁などの合同捜査本部は元会長の山口隆祥容疑者(78)=詐欺容疑で逮捕=がこうした手法を指示したとみて、2100億円もの資金を集めて破綻した経緯の全容解明を急いでいる。
捜査関係者らによると、同社は高齢者らに出資を持ちかける際、「金融資産見直しチェックシート」という資料を提示していた。「預貯金の利息が少ないので困っていますか?」「郵便局や銀行の定期預金を見直しますか?」といった項目が並び、「銀行は潰れる恐れがある」などと不安感をあおって回答してもらうことで預金や保険、金融商品の保有状況を把握。資産に応じて顧客をAからCの3段階にランク分けし、高額の資産家を優先的に勧誘していたという。
同社は2003年ごろから、顧客が購入した商品を同社が預かって第三者に貸し出す「レンタルオーナー制度」という販売預託商法を始め、年6%程度の配当が得られるとうたっていた。数年の短期契約を結んでいる客には「長期レンタル事業増額提案書」という用紙を使い、出資を増やせば資産も増えると説明し、長期契約への切り替えや新規購入を提案した。契約満期時には現金や同社商品に使えるポイントや金券を配るなどして客を囲い込もうとした。
神奈川県の女性(79)は17年、同社支店の男性店長から「このままでは資産が増えないので保険の見直しをすべきだ。元本は必ず返す」と言われ、2000万円の保険を解約して契約を上積みしていた。
山口元会長ら幹部は、高齢者らに信用してもらうため、社員に顧客と親密な関係を作るよう指示を出していた。社員は、同社製のミネラルウオーターを無料で配ったり、生け花教室や東京観光ツアーを開いたりして顧客との距離を縮めたという。
16~17年に2回に分けて計約600万円を出資した神奈川県の女性(87)は、1人暮らしの自宅にミネラルウオーターを配るため足しげく通う若い女性社員を信用し、何度も夕食をごちそうしたり、お土産を持たせて帰らせたりするようになった。同社が17年12月に約2400億円の負債を抱えて経営破綻した後、この社員に何度も電話をかけたが、一度もつながらなかった。女性は「今はどこで何をしているのか。営業が熱心だから心を許していたが、だまされて悔しい」と話した。【柿崎誠】